medicina44巻3号

2007年03月発行

今月の主題 日常診療・当直のための酸塩基平衡，水・電解質，輸液

よく出遭う水電解質異常の鑑別診断と治療を習得する【カリウム(K)】

高Ｋ血症の治療

著者： 平和伸仁¹

所属機関： ¹横浜市立大学附属市民総合医療センタ－ 血液浄化室/腎臓内科

ページ範囲：P.488 - P.490

文献概要

ポイント

●血液生化学検査で血清高K値が認められた場合は，緊急度に応じた対応が必要である．

●危険な心電図異常が存在する場合，致命的な高K血症(心電図異常を伴いK 6mEq/l以上，末期腎不全患者では6.5～7mEq/l以上)であり，まず治療を開始する．同時に高Ｋ血症の原因を探り，原因に対する個別の対応をする．

●心電図異常を認めない場合は，偽性高Ｋ血症(血小板や赤血球の崩壊，溶血)の可能性があり，太い静脈や動脈からヘパリン採血による血漿Ｋ濃度の測定を行い確認する．

参考文献

1)Charytan D, et al：Indications for hospitalization of patients with hyperkalemia. Arch Intern Med 160：1605-1611, 2000〔高Ｋ血症の入院基準を，血清Ｋ 8mEq/l以上(T波以外の心電図異常を有する)，腎機能の悪化，他の内科疾患の合併とした〕

2)Hollander-Rodriguez JC, et al：Hyperkalemia. Am Fam Physician 73：283-290, 2006(高Ｋ血症の成因から治療までまとめてある)

3)Brater DC：Diuretic therapy. N Engl J Med 339：387-395, 1998(必ずしも高Ｋ血症の話ではないが，利尿薬についてわかりやすく記載されている)