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連載 Case Study 診断に至る過程・12【最終回】
似て非なるもの
著者: 松村正巳1 北島進2
所属機関: 1金沢大学医学部付属病院 リウマチ・膠原病内科 2石川県立中央病院 賢・膠原病内科
ページ範囲:P.1596 - P.1603
文献購入ページに移動42歳,女性
主訴:発熱,発疹
現病歴:バセドウ(Basedow)病,関節リウマチで通院中であったが,3日前から40°Cの発熱,嘔吐,下痢(1日3~4行)が出現した.2日前の夕方に救急外来を受診し,細胞外液補充液(ヴィーンD®)500m
既往歴:28歳からバセドウ病,41歳から関節リウマチの治療をうけている.36歳時には甲状腺クリーゼを発症している.41歳時に胸膜炎と原因不明の蕁麻疹の既往あり.
薬剤アレルギーの既往はなし.輸血歴はなし.
家族歴:特記事項なし.
嗜 好:たばこは吸わない.アルコールは機会があれば飲む程度.ペットはいない.海外渡航歴なし.主婦である.
内服薬:シメチジン(タガメット®)200mg/日,ジクロフェナクナトリウム(ボルタレン®)50mg/日,プレドニン2.5mg/日,サラゾスルファピリジン(アザルフィジンEN®)1,000mg/日,チアマゾール(メルカゾール®)5mg/隔日投与
アザルフィジンEN®は,10日前から関節リウマチに対して処方開始された.メルカゾール®は飲み忘れることなく服用していた.
身体所見:血圧86/40mmHg,脈拍120/分,整,体温40.5℃,呼吸数24/分.
体格中等度.意識清明だが,かなり消耗している.顔面,体幹,大腿部にびまん性の紅斑を認め,紅皮症の状態である(図1).黄疸なし.両側の眼球突出を認める.耳,鼻は異常なし.咽頭,扁桃に発赤,出血斑,白苔などの所見はなし.両側後頸部に径1cmのリンパ節をおのおの2ヶ触知する.消しゴムくらいの硬さで圧痛,癒着なし.左右対称性の甲状腺腫大を認める.頸静脈の怒脹はなし.呼吸音に異常なし.心拡大なし.I音やや減弱,心尖部にgrade2の汎収縮期雑音を聴取する.III音は聴取しない.腹部に圧痛なし.肝を右季肋下に2cm触れる.脾臓をわずかに触知する.腋窩,鼠径部のリンパ節は触知しない.四肢の関節の変形なし.項部硬直なし.その他,神経学的異常は認めない.
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