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書評
医療を経済する―質・効率・お金の最適バランスをめぐって
著者: 南部鶴彦1
所属機関: 1学習院大・経済学
ページ範囲:P.795 - P.795
文献購入ページに移動 医療経済学というテーマで出版されている書物は,それほど数が多いとは言えないものの,かなりの数にのぼる.これらの書物は経済学者が主たる執筆者なので,かなりの程度経済学のお作法に従っていることは避け難い.この結果として,非経済学の分野の人々にはとっつきにくい印象を与えているのではないかと思う.これに対して本書は,一方で標準的な経済学の基礎を要領よく解説した部分(第I部〔頁1-114〕,第III部〔頁185-250〕)と医療に特徴的な分析手法の解説とが非常にうまく融合されているという印象を与える.
まず第I部では「効率」という概念がなぜ必要となるかを説明して,医療にも社会全体の稀少な資源が投入される以上,単純に医療保障は厚ければ厚いほどよいというものでないということがミクロ経済学の手法でわかりやすく説明されている.効率というと無駄を省くということであり,医療の質の低下につながると考えている人々がかなりいるとすれば,この第I部はそれが正しくないことを有効に説いていると思われる.
まず第I部では「効率」という概念がなぜ必要となるかを説明して,医療にも社会全体の稀少な資源が投入される以上,単純に医療保障は厚ければ厚いほどよいというものでないということがミクロ経済学の手法でわかりやすく説明されている.効率というと無駄を省くということであり,医療の質の低下につながると考えている人々がかなりいるとすれば,この第I部はそれが正しくないことを有効に説いていると思われる.
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