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連載 市中感染症診療の思考プロセス IDATEN感染症セミナーより・4
市中細菌性髄膜炎のマネジメント
著者: 笹原鉄平12
所属機関: 1自治医科大学附属病院臨床感染症センター 感染制御部 2自治医科大学附属病院臨床感染症センター 感染症科
ページ範囲:P.1320 - P.1325
文献購入ページに移動現病歴特記 すべき既往のない70歳男性が,1週間前に発熱・咳で近医を受診し,急性気管支炎の診断で抗菌薬を処方された.いったん軽快するも,来院前日からの38.8℃の発熱,悪寒,前頭部痛と頸部痛の訴えで救急外来を受診した.来院時嘔吐が1回あった.頭痛はひどい痛みで,いままでにこのような頭痛の経験はないという.耳痛,鼻漏,皮疹なし.診察の途中で失禁し,直後に強直間代性の全身性痙攣が起こった.薬物アレルギーはない.付き添ってきた妻と2人暮らしで,妻は健康である.
身体所見 血圧110/62mmHg,心拍数122/分・整,呼吸数12/分,体温39.6℃.全身状態:傾眠がち.頭頸部:瞳孔左右差なし,円形,両側対光反射あり,うっ血乳頭なし,鼓膜正常,鼻漏なし,咽頭軽度発赤あり.心臓:脈拍整,雑音なし.肺:肺胞呼吸音.腹部:平坦・軟,圧痛・腫瘤なし,肝脾腫大なし.四肢:浮腫なし,皮疹なし.神経学的所見:人と場所は言えるが,時間が言えない.項部硬直あり,Kernig徴候・Brudzinski徴候ともに陽性.
検査データ 血液検査:白血球 31,000 /μl(分葉核好中球88%,桿状核好中球10%,リンパ球2%),血糖 110mg/dl.髄液:初圧 250mmH2O,白血球 12,500/μl(好中球95%,リンパ球4%),蛋白 150mg/dl,糖 30mg/dl,白血球とグラム陽性双球菌あり.胸部X線:異常所見なし.造影頭部CT:腫瘤影や出血なし,脳ヘルニアの所見なし.
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