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今月の主題 内科医のためのがん診療Update がんの特徴
微生物が関連した腫瘍と治療
著者: 木村哲夫1 土井俊彦2 岩坂剛3
所属機関: 1徳島大学医学部消化器内科 2国立がんセンター東病院消化器内科 3佐賀大学医学部産科婦人科学
ページ範囲:P.1379 - P.1384
文献購入ページに移動human papillomavirusと子宮頸がん
子宮頸がん,特に扁平上皮がんの発生過程は,ヒトがんの中でも特によく研究されているもののひとつである.これによると,扁平円柱上皮接合部近辺の円柱上皮下にある予備細胞が増生する過程において,何らかの原因によって異形成が生じ,それが上皮内がんを経て浸潤がんへ進展すると考えられている.この認識は,それまでに集積された膨大な追跡調査の結果から生まれたものである.さらに,1980年代には,頸部異形成および頸がんの発生過程に,ヒトパピローマウイルス(human papillomavirus:HPV)が関与している可能性が指摘された1).その後,基礎・臨床の双方にわたる多数の研究成果により,このウイルスが頸部異形成および頸がん組織に高率に検出されること,またこのウイルスにはin vitroにおける発がん能力があることが証明された.現在,HPV感染は,子宮頸がん発生に最も重要な因子と目されている.
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