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文献概要
特集 CT・MRIアトラス Update―正常解剖と読影のポイント 腹部 各論
膵臓
著者: 入江裕之1
所属機関: 1佐賀大学医学部放射線科
ページ範囲:P.278 - P.286
文献購入ページに移動正常解剖と正常膵のCT・MRI
●正常解剖
膵は十二指腸下行脚~水平脚,上行結腸,下行結腸と同様,前腎傍腔に存在する後腹膜臓器であり(図1),内外分泌機能を有する腺組織である.膵癌取扱い規約では頭部,体部,尾部に分類され,門脈左縁より右側が膵頭部,左側が膵体尾部であり,さらに膵体尾部は二等分して体部と尾部に分けられる(図2).解剖学的にはその他,頸部,鈎部があり,頸部は上腸間膜静脈と脾静脈の合流部の腹側にあたる領域を指し,鈎部は頭部の左下縁で上腸間膜静脈の背側に位置する.頸部,鈎部ともに膵癌取扱い規約では頭部に含まれる.
膵頭部,体部は前面が壁側腹膜に覆われ,後面が前腎筋膜に隣接し,純粋に後腹膜に存在するのに対して,尾部は脾腎間膜内に存在し,前後面ともに腹膜で囲まれ,腹腔内に存在する.体尾部の前面には小網と呼ばれる腹膜腔が存在する.横行結腸間膜は頭部前面に付着して体尾部方向に横走し,小腸間膜は横行結腸間膜の後層から連続して頭部前面より起始し,鈎部前面を横走下行する(図3).これらの間膜は種々の膵病変の進展経路となるため重要である.
●正常解剖
膵は十二指腸下行脚~水平脚,上行結腸,下行結腸と同様,前腎傍腔に存在する後腹膜臓器であり(図1),内外分泌機能を有する腺組織である.膵癌取扱い規約では頭部,体部,尾部に分類され,門脈左縁より右側が膵頭部,左側が膵体尾部であり,さらに膵体尾部は二等分して体部と尾部に分けられる(図2).解剖学的にはその他,頸部,鈎部があり,頸部は上腸間膜静脈と脾静脈の合流部の腹側にあたる領域を指し,鈎部は頭部の左下縁で上腸間膜静脈の背側に位置する.頸部,鈎部ともに膵癌取扱い規約では頭部に含まれる.
膵頭部,体部は前面が壁側腹膜に覆われ,後面が前腎筋膜に隣接し,純粋に後腹膜に存在するのに対して,尾部は脾腎間膜内に存在し,前後面ともに腹膜で囲まれ,腹腔内に存在する.体尾部の前面には小網と呼ばれる腹膜腔が存在する.横行結腸間膜は頭部前面に付着して体尾部方向に横走し,小腸間膜は横行結腸間膜の後層から連続して頭部前面より起始し,鈎部前面を横走下行する(図3).これらの間膜は種々の膵病変の進展経路となるため重要である.
参考文献
1)入江裕之,他:膵腫瘍の画像診断―CT.臨画像21:598-606,2005
2)入江裕之,他:膵疾患のMDCT診断.日消誌103:1333-1338,2006
3)入江裕之,他:膵癌のCT/MRIによる検出・鑑別・病期診断.画像診断26:23-33,2006
4)入江裕之,他:胆膵悪性腫瘍における画像診断の進歩.癌と化療34:1361-1364,2007
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