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特集 CT・MRIアトラス Update―正常解剖と読影のポイント 腹部 各論
副腎・後腹膜・腹部の大血管
著者: 後閑武彦1
所属機関: 1昭和大学医学部放射線医学教室
ページ範囲:P.312 - P.323
文献購入ページに移動 後腹膜腔は,前腎筋膜(anterior renal fascia),後腎筋膜(posterior renal fascia),外側円錐筋膜(lateroconal fascia)により3腔に分けられる(図1).腎周囲腔(perirenal space)は,前腎筋膜と後腎筋膜で囲まれる腔であり,腎,腎周囲脂肪組織,副腎を入れる.前腎筋膜と後腎筋膜は外側で外側円錐筋膜に移行する.前腎傍腔(anterior pararenal space)は,壁側腹膜と前腎筋膜,外側円錐筋膜で囲まれた領域で,膵,上行・下行結腸,十二指腸の下行・水平・上行脚が含まれる.後腎傍腔(posterior pararenal space)は,腹側を後腎筋膜と外側円錐筋膜で,背側を腹横筋膜で囲まれた領域であり,脂肪組織のみで実質臓器は含まない(図2).
副腎は,右側は右腎上極のやや上方で,下大静脈後方,肝右葉内側,右横隔膜脚の外側に位置する.左副腎は左腎前内側で,膵尾部の後方,左横隔膜脚の外側に位置する.左副腎は右側に比べ,やや下方に位置する.副腎はCTやMRIの横断像で逆Y字型,逆V字型,三角形,線状,三射状などの形態を示すが,頭側では線状,中央部では逆Y字型,尾側では逆V字~三射状を示すことが多い(図3).MRIではT1強調像で肝と同程度かやや低信号,T2強調像で肝とほぼ等信号を示す(図4).
腹部大動脈は,大動脈裂口部から左右の総腸骨動脈に分岐するまでをいう.主な分枝として,第12胸椎下縁から第1腰椎の高さで腹腔動脈,続いて上腸間膜動脈,左右の腎動脈,下腸間膜動脈を分枝する.下大静脈は左右の総腸骨静脈が第4~5腰椎の高さで合流し,椎体の右前方を走行し,右心房に合流する(図5).
副腎は,右側は右腎上極のやや上方で,下大静脈後方,肝右葉内側,右横隔膜脚の外側に位置する.左副腎は左腎前内側で,膵尾部の後方,左横隔膜脚の外側に位置する.左副腎は右側に比べ,やや下方に位置する.副腎はCTやMRIの横断像で逆Y字型,逆V字型,三角形,線状,三射状などの形態を示すが,頭側では線状,中央部では逆Y字型,尾側では逆V字~三射状を示すことが多い(図3).MRIではT1強調像で肝と同程度かやや低信号,T2強調像で肝とほぼ等信号を示す(図4).
腹部大動脈は,大動脈裂口部から左右の総腸骨動脈に分岐するまでをいう.主な分枝として,第12胸椎下縁から第1腰椎の高さで腹腔動脈,続いて上腸間膜動脈,左右の腎動脈,下腸間膜動脈を分枝する.下大静脈は左右の総腸骨静脈が第4~5腰椎の高さで合流し,椎体の右前方を走行し,右心房に合流する(図5).
参考文献
1)河野 敦:副腎疾患.後閑武彦(編):泌尿器・産婦人科疾患のCT/MRI.pp112-125,メジカルビュー社,2006
2)Dunnick NR, et al:Imaging of adrenal incidentalomas;Current status. AJR Am J Roentgenol 179:559-568, 2002
3)Nishino M, et al:Primary retroperitoneal neoplasms:CT and MR imaging findings with anatomic and pathologic diagnostic clues. Radiographics 23:45-57, 2003
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