icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina46巻12号

2009年11月発行

文献概要

特集 CT・MRIアトラス Update―正常解剖と読影のポイント 骨軟部 各論

軟部腫瘍

著者: 玉川光春1 晴山雅人1

所属機関: 1札幌医科大学医学部放射線医学講座

ページ範囲:P.420 - P.434

文献購入ページに移動
正常解剖

 大腿・下腿の横断像を示す(図1,2).大腿の筋を含む大腿筋膜は,外側で厚く腸脛靱帯を形成する.鼠径部で大腿前面の大腿筋膜の穴が伏在裂孔で,大伏在静脈などが通過する.大腿筋膜の内外後側から大腿骨に向かい,内側筋間中隔と外側筋間中隔,半膜様筋と大内転筋を分ける3枚の中隔が存在する.これにより,筋は前方,後方,内側筋膜区分に分けられる.前方には伸筋群である大腿四頭筋(大腿直筋,内側広筋,外側広筋,中間広筋)と縫工筋,後方には屈筋群(ハムストリング)である大腿二頭筋,半腱様筋,半膜様筋,内側には内転筋群の薄筋,恥骨筋,短内転筋,長内転筋,大内転筋が存在する.大腿動脈は前方筋膜区分内にあり,坐骨神経は後方筋膜区分内にある.

 下腿の筋膜は大腿筋膜が膝窩筋膜となり,連続的に下腿筋膜に移行する.下腿筋膜は前後筋間中隔が腓骨に付着し,脛骨と腓骨の間の骨間膜で前方,外側,後方筋膜区分に分かれる.後方筋膜区は深横筋膜で,浅層筋群と深層筋群に分かれる.前方には伸筋群の前脛骨筋,長指伸筋,長母指伸筋があり,前脛骨動静脈,深腓骨神経が含まれ,外側では腓骨筋群の長・短腓骨筋,腓骨動脈からの枝,浅腓骨神経が含まれる.後方筋膜区分は深横筋膜により分けられ,浅層筋群には下腿三頭筋(腓腹筋,ヒラメ筋)と足底筋,深層筋群には膝窩筋,後腓骨筋,長母指屈筋,長指屈筋があり,後脛骨動静脈,腓骨動静脈,脛骨神経が含まれる.

参考文献

1)Fletcher DM, Unni KK, Mertens F:Pathology and Genitics of Tumours of Soft Tissue and Bone. pp19-224, IARC Press, Lyon, 2002
2)Resnick D, et al:Diagnosis of Bone and Joint Disorders. pp3743-4353, WB Saunders, Philadelphia, 2002
3)Saifuddin A:Musculoskeletal MRI, pp783-887. Hodder Arnold, London, 2008
4)越智隆弘,他: 骨軟部腫瘍および関連疾患.吉川秀樹(編).最新整形外科学大系20巻.pp348-436,中山書店,2007
5)藤本 肇:軟部腫瘍画像診断のピットホール.臨床画像25:44-52, 2009
6)玉川光春:軟部腫瘤.画像診断29:s44-s67, 2009
7)Tuoheti Y, et al:Skeletal muscle metastases of carcinoma:a clinicopathological study of 12 cases. Jpn J Clin Oncol 34:210-214, 2004
8)石井一誠,他:上下肢に発生した腫瘤型筋サルコイドーシスの一例.整外と災外57:506-510, 2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?