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書評
精神障害のある救急患者対応マニュアル―必須薬10と治療パターン40
著者: 八田耕太郎1
所属機関: 1順天堂大学大学院/精神・行動科学
ページ範囲:P.1247 - P.1247
文献購入ページに移動 本書は,精神障害者の身体合併症のうち救急性のある疾患40パターンについての治療マニュアルである.マニュアルといっても,その病態から治療までの明快な解説は,生化学的あるいは生理学的理解を可能にしており,深みのある実用書兼専門書といえる.精神障害者の身体合併症に関する書籍はこれまでにもあるが,精神科側から論じれば身体疾患に関する病態生理の深みに欠けていたり,非精神科医が書けば精神疾患への理解の浅さから机上論的であったりといった記憶がある.その点で本書は,納得しながら読める好著である.このような内容の書籍を生み出せたのは著者の稀有な経歴にもよるのであろう.
例えば,向精神薬の急性中毒に対する処置とその根底にある考え方の明快な論理性は,東工大で化学を修得したがゆえと思われる.実際,著者は中毒研究の第一人者である.さらに,深い精神疾患への理解のもとに身体疾患への治療が組み立てられているため,精神科医が読んでも臨場感がある.その背景には,東京医科歯科大学や東京都立広尾病院で精神科医として研鑽を積んだ経験が生きているのであろう.そして,精神障害者の身体合併症のうち救急性のある疾患として40パターンを選び出し読者を納得させる的確さは,救急医として北里大学救命救急センターで最重症の身体合併症に対応してきた実力のなせる業であろう.
例えば,向精神薬の急性中毒に対する処置とその根底にある考え方の明快な論理性は,東工大で化学を修得したがゆえと思われる.実際,著者は中毒研究の第一人者である.さらに,深い精神疾患への理解のもとに身体疾患への治療が組み立てられているため,精神科医が読んでも臨場感がある.その背景には,東京医科歯科大学や東京都立広尾病院で精神科医として研鑽を積んだ経験が生きているのであろう.そして,精神障害者の身体合併症のうち救急性のある疾患として40パターンを選び出し読者を納得させる的確さは,救急医として北里大学救命救急センターで最重症の身体合併症に対応してきた実力のなせる業であろう.
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