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今月の主題 内科医のためのクリニカル・パール―診療のキーポイントと心にのこる症例 救急
内科救急のキーポイント
著者: 加藤之紀1 林寛之1
所属機関: 1福井県立病院救命救急センター
ページ範囲:P.1388 - P.1391
文献購入ページに移動2005年にAHA(アメリカ心臓協会)が発表したCPR(cardiopulmonary resuscitation:心肺蘇生法)のガイドラインは「絶え間ない胸骨圧迫」の重要性をことさら強調するものとなった.胸骨圧迫対換気の比は15:2から30:2に変更され,1回の換気にかける時間自体も1~2秒から1秒へと短縮されている.早期除細動の重要性は強調しても強調し過ぎることはないが,それでもなお,除細動前にしっかりと心マッサージをしておくほうが蘇生率は良い.質のいい心マッサージが予後を変えるのである.
昨今では胸骨圧迫のみで換気は行わない,つまり心マッサージの手を休めないほうがむしろ生命予後,神経学的予後ともに良いとする論文も増えており,CPRにおける胸骨圧迫の重要性はその地位を高めるばかりである.人工呼吸を完全に否定するにはまだエビデンスは乏しい.2008年にはAHAは,目撃者のある心肺停止では(つまり心臓が原因である可能性が高い場合),心マッサージのみ(hands only CPR)でもよいと提言している.
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