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文献詳細

雑誌文献

medicina46巻9号

2009年09月発行

文献概要

今月の主題 内科医のためのクリニカル・パール―診療のキーポイントと心にのこる症例 救急

内科救急のキーポイント

著者: 加藤之紀1 林寛之1

所属機関: 1福井県立病院救命救急センター

ページ範囲:P.1388 - P.1391

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■成人のCPRは1にも2にもしっかりとした胸骨圧迫

 2005年にAHA(アメリカ心臓協会)が発表したCPR(cardiopulmonary resuscitation:心肺蘇生法)のガイドラインは「絶え間ない胸骨圧迫」の重要性をことさら強調するものとなった.胸骨圧迫対換気の比は15:2から30:2に変更され,1回の換気にかける時間自体も1~2秒から1秒へと短縮されている.早期除細動の重要性は強調しても強調し過ぎることはないが,それでもなお,除細動前にしっかりと心マッサージをしておくほうが蘇生率は良い.質のいい心マッサージが予後を変えるのである.

 昨今では胸骨圧迫のみで換気は行わない,つまり心マッサージの手を休めないほうがむしろ生命予後,神経学的予後ともに良いとする論文も増えており,CPRにおける胸骨圧迫の重要性はその地位を高めるばかりである.人工呼吸を完全に否定するにはまだエビデンスは乏しい.2008年にはAHAは,目撃者のある心肺停止では(つまり心臓が原因である可能性が高い場合),心マッサージのみ(hands only CPR)でもよいと提言している.

参考文献

1)American Heart Association:AHA Guidelines 2005 for cardiopulmonary resuscitation and emergency cardiovascular care. Circulation 112(24 Suppl):Ⅳ-1-Ⅳ-5, 2005
2)Edmonds ZV, et al:The reliability of vital sign measurements. Ann Emerg Med 39:233-237, 2002
3)Barkin AZ, et al:Ultrasound detection of abdominal aortic aneurysm. Emerg Med Clin North Am 22:675-682, 2004
4)Kothari RU, et al:Cincinnati prehospital stroke scale;Reproducibility and validity. Ann Emerg Med 33:373-378, 1999
5)Huff JS:Stroke mimics and chameleons. Emerg Med Clin North Am 20:583-595, 2002
6)Ghaemmaghami CA, et al:Pitfalls in the emergency department diagnosis of acute myocardial infarction. Emerg Med Clin North Am 19:351-369, 2001
7)日本脳卒中学会:脳卒中治療ガイドライン2004.http://www.jsts.gr.jp/jss08.html
8)Adams J, et al:The general approach to the difficult patient. Emerg Med Clin North Am 16(4):689-700, 1998
9)林寛之:ステップビヨンドレジデント①救急診療のキホン編.羊土社,2006
10)林寛之:ステップビヨンドレジデント②救急で必ず出合う疾患編.羊土社,2006
11)林寛之:ステップビヨンドレジデント④救急で必ず出合う疾患編Part2.羊土社,2008
12)林寛之:ステップビヨンドレジデント⑤外傷・外科診療のツボ編Part2.羊土社,2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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