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文献詳細

雑誌文献

medicina46巻9号

2009年09月発行

文献概要

今月の主題 内科医のためのクリニカル・パール―診療のキーポイントと心にのこる症例 感染症

【心にのこる症例】「胃腸炎」は危険な病名!/熱がなくても……

著者: 山本舜悟1

所属機関: 1亀田メディカルセンター総合診療・感染症科

ページ範囲:P.1414 - P.1417

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「胃腸炎」は危険な病名!

【症例1】53歳,女性.主訴:吐き気

現病歴:受診の5日ほど前から咳,痰,鼻汁,咽頭痛があった.市販の風邪薬を飲んで様子をみていたが,症状は改善がなく,3日前から吐き気のために食事がとれなくなった.同じ頃から水様下痢もあったが,前日から下痢は治まっている.経過中発熱,頭痛,腹痛,嘔吐はなかった.吐き気はあるものの,水分はなんとかとっている.夫と二人暮らしで,周りに同じ症状の者はいない.既往歴は特になく,アレルギー歴もなし.喫煙,飲酒歴ともになし.内服薬は3日前に市販の総合感冒薬を飲んだが常用薬はなし.海外渡航歴なし.動物接触歴なし.

診察所見:血圧130/80 mmHg.脈拍120/分,整.呼吸数16/分.体温36.1℃.結膜は蒼白ではなく,黄染もなし.副鼻腔の圧痛なし.扁桃腫大なし.頸部リンパ節腫脹なし.胸部ラ音なし.過剰心音,心雑音も聴取せず.腹部に手術痕はなく,腸蠕動音は亢進,平坦,軟,圧痛なし.肝叩打痛なし.背部はCVA(costovertebral angle)叩打痛や脊柱の叩打痛なし.下肢に浮腫なし.

経過:全身状態はそれほど悪くなく,吐き気と下痢があり,急性胃腸炎と考えた.水分摂取は可能というが頻脈もあり,脱水を考え,補液を行った.軽い脱水だろうと思い,特に検査は行わなかった.制吐剤,整腸剤を処方し,水分摂取が不可能になったら再受診するように伝えて,帰宅させることになった.

 ところが……その2日後に患者は救急外来へ戻ってきた.何が起こったのだろうか?

参考文献

1)青木眞:レジデントのための感染症診療マニュアル.第2版.医学書院,2008
2)Kitabchi A, et al:Hyperglycemic crises in adult patients with diabetes:A consensus statement from the American Diabetes Association. Diabetes Care 29:2739-2748, 2006
3)Laffey JG, Kavanagh BP:Hypocapnia. N Engl J Med 347:43-53, 2002
4)Ikeda M:Using vital signs to diagnose impaired consciousness:Cross sectional observational study. BMJ 325:800, 2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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