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文献詳細

雑誌文献

medicina46巻9号

2009年09月発行

文献概要

今月の主題 内科医のためのクリニカル・パール―診療のキーポイントと心にのこる症例 血液・腫瘍

【心にのこる症例】心不全の既往のある女性の腎不全?

著者: 白井敬祐1

所属機関: 1サウスカロライナ医科大学血液/腫瘍内科

ページ範囲:P.1422 - P.1423

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【症例】70代 女性,心不全のコントロールがつかない

 心不全(EF30%台,aortic stenosisもあり),心房細動,脳梗塞の既往のある70代の女性が,日に日に悪くなる呼吸苦を主訴に近医を受診.X線写真でも肺血管陰影の増強を認め,心不全の診断で入院となった.入院後,利尿薬の投与にても,症状の改善を認めず,腎機能のさらなる低下もみられた.過去に何回も心不全での入院歴があったため,心不全増悪による拍出量低下による腎前性腎不全として,だれも疑いをもつことなく治療を受けていた.ラシックス®の点滴にも反応せず,Creは1.4mg/dlから4.1mg/dlまで上昇,BUNも100mg/dlを超えボリューム管理のため,透析が一時的に必要になった.高濃度の酸素も,SaO2を維持するために投与された.

 血液検査では,Hb 9.0g/dl程度の貧血と血小板も10.8×104/mlとやや低値であったが,MCVも正常範囲で,腎性貧血であろうと考えた.総蛋白は6.5mg/dl,Albも3.3mg/dlと,特に蛋白の乖離もみられなかった.入院してからの検査結果をコンピュータ上で眺めていると,赤く表示された「-2」の文字が目に飛び込んできた.自動的に計算されたアニオンギャップであった.アニオンギャップ上昇ならともかく,低下しかもマイナス? 何を考えるべきか? あなたならどうしますか?

参考文献

Kraut JA, et al:Serum anion gap;Its uses and limitations in clinical medicine. Clin J Am Soc Nephrol 2:162-174, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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