文献詳細
今月の主題 内科医のためのクリニカル・パール―診療のキーポイントと心にのこる症例
消化器
【心にのこる症例】病歴を無視するな/化膿性胆管炎に対する抗菌薬はあくまでも補助的な治療
著者: 小林健二1
所属機関: 1大船中央病院光学診療部
ページ範囲:P.1482 - P.1484
文献概要
【症例1】 70代,男性.タール便
70代の黒人男性で発熱の精査目的で内科入院となった.入院前より37~38℃台の発熱が約2週間続いていた.内科にて発熱の精査を行っていたが,入院後に貧血とタール便が出現したため,内視鏡検査を含めて消化器内科にコンサルトがあり,消化器内科研修中であった筆者がまずコンサルトに応じた.
腹痛,嘔気・嘔吐,下痢などの消化器症状はなかった.既往歴には高血圧,腹部大動脈瘤に対する人工血管置換術があった.以前より降圧薬とアスピリンを服用していた.診察では,38℃台の発熱を間欠的に認める以外に自覚症状はなく,重症感もなかった.血圧,脈拍は安定しており,起立性低血圧も認めなかった.腹部診察で7年前に施行した腹部大動脈瘤に対する人工血管置換術の手術痕を正中に認めた.直腸診では少量の黒色便を認めた.
当日の朝の血液検査では,WBC 12,000/μl,Hb 12.5 g/dl,Ht 37.0%,PLT 35×104/μl,BUN 28 mg/dl,Cr 1.4 mg/dlであった.
この時点で考えなければならない鑑別診断は何か?
参考文献
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