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特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集 外来でできる迅速キット検査
急性冠症候群
著者: 清野精彦1 根岸経太1 栗原理1
所属機関: 1日本医科大学千葉北総病院循環器内科
ページ範囲:P.51 - P.53
文献購入ページに移動急性冠症候群(ACS:acute coronary syndrome)の病態は,粥状動脈硬化病変のなかでもゲル状のコレステロールエステルに富んだ核を有し,薄い線維性被膜に包まれた脆弱で不安定なプラークが,血管内皮障害や血管壁のストレス,炎症機転などにより破裂して,これが引き金となり周囲に血栓が形成され,急激に冠動脈の閉塞をきたすことにより致死的な心筋虚血・壊死(急性心筋梗塞,心臓突然死,不安定狭心症など)を発症する.また,このような不安定プラークは冠動脈数カ所に分布していることが多く,発症早期の治療のみならず一次・二次予防が重要である.
一連の冠動脈イベントのなかで,ST上昇型心筋梗塞(ST-segment elevation myocardial infarction:STEMI)では完全閉塞型赤色血栓(血小板・フィブリノーゲン・赤血球よりなる)を形成し,貫壁性の梗塞(Q波梗塞)に進展するのに対して,非ST上昇型心筋梗塞/不安定狭心症(non-STEMI/unstable angina:NSTEMI/UA)の場合には,不完全閉塞型白色血栓(主に血小板よりなる)を形成することが冠動脈血管内視鏡や血管内超音波で観察されている.非ST上昇型の場合には,破砕したプラークや血栓が末梢心筋に微小塞栓し,微小心筋傷害(minor myocardial damage:MMD)を合併した高リスクUAを発症する.
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