icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina47巻11号

2010年10月発行

文献概要

特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集 血液検査 凝固・線溶系検査

トロンボテスト,ヘパプラスチンテスト

著者: 村田満1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部臨床検査医学

ページ範囲:P.92 - P.93

文献購入ページに移動
トロンボテスト(TT)

異常値の出るメカニズムと臨床的意義

 トロンボテスト(thrombo test:TT)は凝固因子活性を総合的に測定する検査の1つである.肝臓でビタミンK依存性に合成される凝固因子(Ⅱ,Ⅶ,Ⅸ,Ⅹ)のうちⅡ,Ⅶ,Ⅹの消長を反映する.これらの因子が低下した場合に異常(延長)となる.内因性凝固阻害物質であるPIVKA(proteins induced by vitamin K absence)-Ⅱ(ビタミンK欠乏またはビタミンK拮抗薬で誘発される蛋白)の影響を受け延長するため,後述のヘパプラスチンテスト(hepaplastin test:HPT)が肝機能(合成能)評価に用いられるのと対照的に,TTは主に血液凝固能の評価に使用される.

 TT試薬中にはウシ大脳由来組織因子(tissue factor:TF),Ⅰ(フィブリノゲン),Ⅴ,Ⅷ,XI,XII因子を含むウシ血漿,カルシウムなどを含む.患者検体中のⅡ,Ⅶ,X因子がTT試薬に添加されると凝固が起こる.本検査は検体中のⅤ因子とフィブリノゲン濃度に依存せず,検体中のプロトロンビン(Ⅱ因子)に最も高い感受性を有する特性をもっている.Ⅶ,X因子の低下も反映させた複合因子活性測定検査である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?