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文献詳細

雑誌文献

medicina47巻11号

2010年10月発行

文献概要

特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集 血液検査 凝固・線溶系検査

血液凝固因子

著者: 天野景裕1

所属機関: 1東京医科大学臨床検査医学講座

ページ範囲:P.107 - P.109

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異常値の出るメカニズムと臨床的意義

 血液凝固因子の活性化は,活性化された凝固因子が,特定の凝固因子を引き続き活性化させる逐次反応によって連続的に進行する.したがって,生体内で過剰な凝固反応が進んだときには,多くの凝固因子が連鎖的に活性化され,やがてアンチトロンビンなどにより失活を受ける.すなわち,過凝固状態の初期には,血漿中の各凝固因子の活性が見かけ上増加し,引き続き消費性に低下する.各凝固因子は,主に肝臓で産生され,特定の血中半減期に従って代謝される.この際,凝固因子の血漿濃度は,産生や貯蔵部位からの放出が増えるときには上昇する.各種の誘因によるビタミンK欠乏症では,ビタミンK依存性凝固因子群のγカルボキシル化が抑制され,おのおのの活性は低下する.また,ある凝固因子に対する特異抗体が産生されたときには血中半減期が短縮し,血漿濃度は低下する.

参考文献

1)新井盛夫,他:凝固因子の検査.藤巻道男,福武勝幸(編):血液凝固検査ハンドブック,pp157-243,宇宙堂八木書店,1992
2)稲葉 浩,他:軽症血友病Aから検出される第Ⅷ因子R531H変異の第Ⅷ因子活性とその特徴.日血栓止血会誌19:788-795, 2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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