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文献詳細

雑誌文献

medicina47巻11号

2010年10月発行

文献概要

特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集 血液生化学検査 蛋白

α1-ミクログロブリン(α1-m),β2-ミクログロブリン(β2-m)

著者: 伊藤喜久1

所属機関: 1旭川医科大学臨床検査医学

ページ範囲:P.123 - P.125

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異常値の出るメカニズムと臨床的意義

 分子量が約50,000以下(アルブミン60,000未満と定義することもある)の蛋白質を低分子蛋白と呼ぶ.共通しているのは,臓器,組織の由来を問わず産生,血中に分泌されると,その分子サイズ,荷電,分子形に応じてきわめて短時間に腎糸球体から濾過され,さらに腎近位尿細管において95%以上が再吸収され,残りのごくわずかが尿中に排泄される一連の動態異化代謝過程をたどる.α1-ミクログロブリン(α1-m)は分子量30,000,β2-ミクログロブリン(β2-m)は11,000の代表的な低分子蛋白であり,共通の異化組織である腎機能の低下(糸球体濾過能の低下)により,ほぼ並行して血清濃度は増加してくる.

 α1-mは主に肝臓で産生されて,肝機能の高度の低下により血中濃度は低下してくる.きわめて稀に肝臓癌で産生増加を示すこともある.肝臓から産生分泌されたα1-mの一部は単量体IgAと1:1モル比で共有結合する.したがって,IgAが顕著に増加を示す多発性骨髄腫や多クローン性に増加する種々の疾患でも増加を示す.ただし,多量体IgAが増加する肝硬変症での増加はみられない.乳幼児において,α1-mが低値であるのは生理的なIgA低下状態を反映している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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