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特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集 血液生化学検査 蛋白
α1-アンチトリプシン,α1-アンチキモトリプシン
著者: 〆谷直人1
所属機関: 1国際医療福祉大学熱海病院検査部
ページ範囲:P.126 - P.128
文献購入ページに移動異常値の出るメカニズムと臨床的意義
急性期蛋白の一種であるα1-アンチトリプシン(α1-antitrypsin:α1AT)およびα1-アンチキモトリプシン(α1-antichymotrypsin:α1ACT)は,蛋白分解酵素を阻害する蛋白(protease inhibitor)に属する.α1ATはエラスターゼ,トリプシン,キモトリプシン,コラゲナーゼなど各種のプロテアーゼの作用を中和ないし阻害する.α1ACTはキモトリプシンやカテプシンGを中和し,PSA(prostate-specific antigen:前立腺特異抗原)と結合する特徴がある.
血清蛋白分画のα1分画の主成分を占めるα1ATはマクロファージから産生されるインターロイキン-1,インターロイキン-6や腫瘍壊死因子などの炎症性サイトカインの作用で主に肝臓で生成され,炎症時には2~3日で基準値の約2倍に達し,炎症の指標となる.α1ACTもα1分画に属し,血液中に存在するのは主にα1ATと同じ機序で肝臓で生成されたものであるが,老人斑と脳血管アミロイドにα1ACTの存在することが明らかにされており1),脳のアミロイド生成にもα1ACTは関与している.このため,Alzheimer型認知症では血清および髄液中のα1ACTが増加する.
急性期蛋白の一種であるα1-アンチトリプシン(α1-antitrypsin:α1AT)およびα1-アンチキモトリプシン(α1-antichymotrypsin:α1ACT)は,蛋白分解酵素を阻害する蛋白(protease inhibitor)に属する.α1ATはエラスターゼ,トリプシン,キモトリプシン,コラゲナーゼなど各種のプロテアーゼの作用を中和ないし阻害する.α1ACTはキモトリプシンやカテプシンGを中和し,PSA(prostate-specific antigen:前立腺特異抗原)と結合する特徴がある.
血清蛋白分画のα1分画の主成分を占めるα1ATはマクロファージから産生されるインターロイキン-1,インターロイキン-6や腫瘍壊死因子などの炎症性サイトカインの作用で主に肝臓で生成され,炎症時には2~3日で基準値の約2倍に達し,炎症の指標となる.α1ACTもα1分画に属し,血液中に存在するのは主にα1ATと同じ機序で肝臓で生成されたものであるが,老人斑と脳血管アミロイドにα1ACTの存在することが明らかにされており1),脳のアミロイド生成にもα1ACTは関与している.このため,Alzheimer型認知症では血清および髄液中のα1ACTが増加する.
参考文献
1)Abraham CR, et al:Immunochemical identification of the serine protease inhibitor alpha 1-antichymotrypsin in the brain amyloid deposits of Alzheimer's disease. Cell 57:487-501, 1988
2)Porcellini E, et al:Elevated plasma levels of alpha-1-anti-chymotrypsin in age-related cognitive decline and Alzheimer's disease;A potential therapeutic target. Curr Pharm Des 14:2659-2664, 2008
3)Matsubara E, et al:Alpha 1-antichymotrypsin as a possible biochemical marker for Alzheimer-type dementia. Ann Neurol 28:561-567, 1900
4)Eriksson S, et al:Familial alpha 1-antichymotrypsin deficiency. Acta Med Scand 220:447-453, 1986
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