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文献詳細

雑誌文献

medicina47巻11号

2010年10月発行

文献概要

特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集 血液生化学検査 蛋白

α2-マクログロブリン

著者: 伊藤喜久1

所属機関: 1旭川医科大学臨床検査医学

ページ範囲:P.129 - P.130

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異常値の出るメカニズムと臨床的意義

 α2-マクログロブリン(α2-M)は分子量が800,000,糖含量6~7%の蛋白質で,補体C3,C4,C5などと構造的に相同性を有する.肝細胞の単球マクロファージ系細胞,星状グリア細胞など全身の細胞から産生される.α2-Mの機能はトリプシン,アンチトリプシン,エステラーゼなどの蛋白分解酵素と結合し,血中から短時間に酵素活性を阻害する.血液凝固についても同様に制御作用を示し,トリプシン,トロンビンを抑制しフィブリノゲン分解,線溶を促進する.また,ホルモン,インターロイキン6(IL-6)とも結合し,その機能を調整する(図1).

 血清濃度は産生とクリアランスのバランスの上に立つ.腎糸球体基底膜の選択的透過性が維持されている限り,尿中にはほとんど漏出しない.しかし,ネフローゼ症候群ではα2-M,リポ蛋白など高分子蛋白も含め,すべての蛋白が尿として体外に漏出する.この結果,体内での代償的産生が高まり,また中・低分子蛋白成分と比較して相対的に漏出しにくいため,血中濃度は増加する.妊娠では血中エストロゲンが増加すると,単球マクロファージ系の細胞からの産生も増加する.

参考文献

1)Kanoh Y, et al:Levels of alpha 2 macroglobulin can predict bone metastases in prostate cancer. Anticancer Res 21:551-556, 2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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