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文献詳細

雑誌文献

medicina47巻11号

2010年10月発行

文献概要

特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集 血液生化学検査 蛋白

ハプトグロビン

著者: 日野田裕治1

所属機関: 1山口大学大学院医学系研究科臨床検査・腫瘍学分野

ページ範囲:P.131 - P.132

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異常値の出るメカニズムと臨床的意義

 ハプトグロビン(haptoglobin:Hp)は,電気泳動上α2領域に検出される糖蛋白で,主に肝で産生され,血中半減期は2~4日である.肝以外では肺,腎,脾,胸腺,心,好中球などでの発現が知られている.炎症刺激〔インターロイキン(IL)-1β, IL-6,腫瘍壊死因子-α〕で産生が高まる急性相反応蛋白の1つでもある.

 Hpをコードする遺伝子は16q22.3に存在し,2つのアレル(遺伝子座)Hp1とHp2が知られている(と表記される).Hp遺伝子はa鎖(軽鎖)とβ鎖(重鎖)をコードしており,Hp2ではα鎖の遺伝子内重複が生じている.このためHp1とHp2ではβ鎖は共通だが,Hp2のα鎖はHp1より長くなっている.以上より,遺伝子型としてはHp1/Hp1,Hp1/Hp2,Hp2/Hp2の3種類が存在する.これらに対応した3種類の蛋白Hp1-1,Hp1-2,Hp2-2が産生され,血中に検出される.それぞれαβの二量体(αβ)2を形成し,β鎖39kD,Hp1α鎖10kD,Hp2α鎖18kDであるため,分子量は計算上98~114kDとなるが,Hp2α鎖が鎖内ジスルフィド結合を2つ保有するため,Hp1-2,Hp2-2では三量体や四量体も生ずる.

参考文献

1)Nielsen MJ, Moestrup SK:Receptor targeting of hemoglobin mediated by the haptoglobins;Roles beyond heme scavenging. Blood 114:764-771, 2009
2)Carter K, Worwood M:Haptoglobin;A review of the major allele frequencies worldwide and their association with diseases. Int J Lab Hematol 29:92-110, 2007
3)Koda Y, et al:Simple PCR detection of haptoglobin gene deletion in anhaptoglobinemic patients with antihaptoglobin antibody that causes anaphylactic transfusion reactions. Blood 95:1138-1143, 2000
4)奥村次郎,他:健常人血清中Haptoglobin量の型別,年齢別,性別分布について.臨病理30:912-916, 1982

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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