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文献詳細

雑誌文献

medicina47巻11号

2010年10月発行

文献概要

特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集 血液生化学検査 炎症マーカー

KL-6

著者: 大林王司1 滝澤始1

所属機関: 1帝京大学医学部附属溝口病院第四内科

ページ範囲:P.150 - P.152

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異常値の出るメカニズムと臨床的意義

 間質性肺炎では原因不明のものがあり,これは特発性間質性肺炎(idiopathic interstitial pneumonia:IIP)と呼ばれる.そのなかで,特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis:IPF)は診断から5年生存率が約30%と予後不良な疾患であり,現在もなお有用な治療法がない.肺胞上皮の傷害が発端となり,線維芽細胞の異常修復,それによる過剰な線維化を基本病態として世界的にも理解されている疾患である.炎症と線維化をきたす舞台には2種類あり,間質内と肺胞内が主な病変部位である.

 河野らは,肺癌への特異度の高いモノクローナル抗体を作製し,この循環抗原がIIP患者に高率に異常高値となることを確認した.これをKL-6(シアル化糖鎖抗原KL-6;Krebs von den lungen-6)と命名した.1993年にKL-6はムチンのMUC1に分類される巨大糖鎖蛋白であることが解明された.主な産生細胞はⅡ型肺胞上皮とClara細胞である.線維化病変では,これに加えて再生Ⅱ型上皮細胞と線毛上皮細胞がある.KL-6は1999年に間質性肺疾患の診断および活動性マーカーとして厚生省より診断薬として認可された.2000年には健康保険認可され,臓器特異性に乏しい乳酸脱水素酵素(lactic dehydrogenase : LDH)に代わり,わが国が世界に先駆けて多くの検体測定体制を進めている.現在までに北海道大学のグループが遺伝子レベルの解析を行った.

参考文献

1)石川暢久,河野修興:シアル化糖鎖抗原KL-6.日臨67:358-360, 2009
2)高橋弘毅,白鳥正典:間質性肺炎とSP-A, SP-D.日肺サーファクタント・界面医会誌40:99-102, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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