icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina47巻11号

2010年10月発行

文献概要

特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集 血液生化学検査 窒素化合物

尿酸

著者: 谷口敦夫1

所属機関: 1東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター

ページ範囲:P.157 - P.159

文献購入ページに移動
異常値の出るメカニズムと臨床的意義

 尿酸はヒトにおけるプリン代謝の最終産物である.プリン代謝ではde novo経路とサルベージ経路という2つの経路によりプリンヌクレオチドが合成される.de novo合成経路では11段階の酵素反応によりイノシン酸が合成され,これからアデニル酸(AMP),グアシル酸(GMP)が作られる.一方,サルベージ経路ではプリン塩基から直接ヌクレオチドが合成される.体内のプリン体が分解して生じるプリン塩基や食事中のプリン塩基はこの経路でヌクレオチドとして再利用されるか,異化されてキサンチンオキシダーゼ(キサンチンオキシドリダクターゼ)により尿酸に変換される.キサンチンオキシダーゼは尿酸生成阻害薬であるアロプリノールの作用点である.

 血液中の尿酸は糸球体でほぼ100%濾過されたのち,近位尿細管で再吸収あるいは分泌され,最終的に糸球体で濾過された尿酸の10%程度が尿中に排泄される.近位尿細管には尿酸の再吸収や分泌を担うトランスポーターが管腔側,血管側に存在する.特に管腔側に存在するトランスポーターであるURAT1は尿酸再吸収の主要なメカニズムであるとともに,尿酸排泄促進薬であるプロベネシドやベンズブロマロンの作用点である1)

参考文献

1)Enomoto A, et al:Molecular identification of a renal urate anion exchanger that regulates blood urate levels. Nature 417:447-452, 2002
2)日本痛風・核酸代謝学会ガイドライン改訂委員会:高尿酸血症の治療ガイドライン,第2版,メディカルレビュー社,2010
3)藤森 新:低尿酸血症.小川聡(総編集):内科学書,第7版,pp. 393-395, 中山書店,2009
4)Urano W, et al:The inflammatory process in the mechanism of decreased serum uric acid concentrations during acute gouty arthritis. J Rheumatol 29:1950-1953, 2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?