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文献詳細

雑誌文献

medicina47巻11号

2010年10月発行

文献概要

特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集 血液生化学検査 酵素および関連物質

ビリルビン

著者: 村脇義和1

所属機関: 1鳥取大学医学部機能病態内科学

ページ範囲:P.169 - P.171

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異常値の出るメカニズムと臨床的意義

 正常人においては1日250~350mgのビリルビンが主として肝と脾の網内系で生成されるが,そのうち80~85%は老化赤血球のヘモグロビンに由来し,残りは骨髄の無効造血,肝のヘム蛋白に由来する.生成された非抱合ビリルビンはアルブミンと結合して肝に運ばれ,OATP(organic anion transporting polypeptide)を介して肝細胞に取り込まれる.その後,輸送担体glutathione-S-transferaseにより小胞体に運ばれ,そこでbilirubin UDP glucuronosyl transferase(UGT)によりグルクロン酸抱合を受け,抱合ビリルビンとなり,毛細胆管側膜に存在するMRP2(multidrug resistance protein 2)を介して胆汁中に排泄される(類洞側膜にはMRP3が存在する).したがって,血中ビリルビンの上昇はビリルビンの生成増加,肝細胞でのビリルビンの摂取,輸送,抱合,排泄の障害,胆道系での排泄流出障害で認められる.血中の総ビリルビンが3~4mg/dlになると黄疸が明らかとなる.臨床的にはビリルビン測定は肝・胆道系疾患,溶血性疾患,体質性黄疸などの診断,鑑別,経過観察,予後判定などに利用される.

参考文献

1)野村文夫:ビリルビン.河合 忠(編):基準値と異常値の間―その判定と対策,改訂6版,pp588-590,中外医学社,2006
2)Wolkoff AW, Berk PD:Bilirubin metabolism and jaundice. Schiff ER, Sorrell MF, Maddrey WC(eds):Schiff' s Diseases of the Liver, 10 ed, pp 213-244, Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, 2007
3)村脇義和:ビリルビン(d-ビリルビンを含む).日臨67(増刊号):765-768,2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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