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特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集 血液生化学検査 酵素および関連物質
LD(乳酸デヒドロゲナーゼ)とそのアイソザイム
著者: 前川真人1
所属機関: 1浜松医科大学医学部臨床検査医学
ページ範囲:P.178 - P.179
文献購入ページに移動異常値の出るメカニズムと臨床的意義
乳酸デヒドロゲナーゼ(lactate dehydrogenase:LD)は解糖系最終段階の酵素で,すべての細胞に存在する.H(B)とM(A)の2種のサブユニットからなる四量体で,5種のアイソザイムを形成する.これらアイソザイムの割合は,各細胞・組織における2種のサブユニット遺伝子の発現量に規定され,特徴的なパターンを示す.細胞の可溶性分画に存在するため,細胞の傷害時に直接もしくはリンパを通って間接的に血管内に流入する,いわゆる逸脱酵素である.したがって,大多数の細胞傷害で血清LD活性が上昇するため,非常に感度のよい,体内での異常の発信シグナルであり,初診時のスクリーニング検査として重要な役割を示す.すなわち,何か異常が生じていないかどうかを判定するのに有用である.特に大きな組織の傷害や血球細胞の破壊では血清LD活性が上昇しやすい.血中の活性レベルが傷害の程度を示すため,重篤度を判定できる.また,ほかの酵素との関係,アイソザイム分析により,損傷臓器の推定を行うことができる.さらに,酵素活性の推移をみることにより,治療の効果判定にも用いられる.
LDアイソザイム分析は,LD総活性が高値で由来臓器を推定するとき,理屈に合わない高値の検索や,LD総活性が基準値内であるがアイソザイムパターンの異常が疑われるときに依頼され,その原因解明のために行われる.各アイソザイムの生体内半減期は異なるため(LD-1からLD-5の順番にそれぞれおよそ79時間,75時間,31時間,15時間,9時間),病期によってLDアイソザイムパターンは変化しうる.
乳酸デヒドロゲナーゼ(lactate dehydrogenase:LD)は解糖系最終段階の酵素で,すべての細胞に存在する.H(B)とM(A)の2種のサブユニットからなる四量体で,5種のアイソザイムを形成する.これらアイソザイムの割合は,各細胞・組織における2種のサブユニット遺伝子の発現量に規定され,特徴的なパターンを示す.細胞の可溶性分画に存在するため,細胞の傷害時に直接もしくはリンパを通って間接的に血管内に流入する,いわゆる逸脱酵素である.したがって,大多数の細胞傷害で血清LD活性が上昇するため,非常に感度のよい,体内での異常の発信シグナルであり,初診時のスクリーニング検査として重要な役割を示す.すなわち,何か異常が生じていないかどうかを判定するのに有用である.特に大きな組織の傷害や血球細胞の破壊では血清LD活性が上昇しやすい.血中の活性レベルが傷害の程度を示すため,重篤度を判定できる.また,ほかの酵素との関係,アイソザイム分析により,損傷臓器の推定を行うことができる.さらに,酵素活性の推移をみることにより,治療の効果判定にも用いられる.
LDアイソザイム分析は,LD総活性が高値で由来臓器を推定するとき,理屈に合わない高値の検索や,LD総活性が基準値内であるがアイソザイムパターンの異常が疑われるときに依頼され,その原因解明のために行われる.各アイソザイムの生体内半減期は異なるため(LD-1からLD-5の順番にそれぞれおよそ79時間,75時間,31時間,15時間,9時間),病期によってLDアイソザイムパターンは変化しうる.
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