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特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集 血液生化学検査 酵素および関連物質
AST(GOT),ALT(GPT)
著者: 白羽英則1 小出典男2
所属機関: 1岡山大学病院消化器内科 2岡山大学病院総合診療内科
ページ範囲:P.180 - P.181
文献購入ページに移動AST(aspartate aminotransferase),ALT(alanine transaminase)の血清値は,いずれも本来は細胞内に分布し機能している酵素が,組織障害による細胞破壊,もしくは細胞膜透過性亢進で血中に流出した逸脱酵素である.逸脱酵素を測定することで,臓器の障害を推測することが可能となる.
●ASTはGOT(glutamic oxaloacetic trans-aminase)とも呼ばれる.グルタミン酸とアスパラギン酸をオキサロ酢酸とα-ケトグルタル酸に変換する酵素である.ASTは肝細胞に多いが,心筋,骨格筋,腎臓,赤血球にも含有され,肝臓以外の組織障害でも上昇する.ASTには細胞質に存在する細胞質AST(C-AST)とミトコンドリアに存在するミトコンドリアAST(m-AST)のアイソザイムがある.m-ASTはミトコンドリア膜で保護されているため,肝細胞が壊死に至るような強い障害の際に血中に出現するため,肝細胞障害の重症度の指標となりうる.
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