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文献詳細

雑誌文献

medicina47巻11号

2010年10月発行

文献概要

特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集 血液生化学検査 酵素および関連物質

ALPとそのアイソザイム

著者: 三好秀征1 小池和彦1

所属機関: 1東京大学医学部附属病院消化器内科

ページ範囲:P.182 - P.183

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異常値の出るメカニズムと臨床的意義

 ALP(alkaline phosphatase)はアルカリ条件下でリン酸モノエステルを加水分解し,無機リン酸を生じる生体膜結合酵素であり,活性中心に亜鉛を含む.ALPはエネルギー代謝にかかわる酵素であり,種々の組織に存在するが,血中に検出されるものは肝,胆道,骨,胎盤,小腸に由来する.時に悪性腫瘍がALPを多量に産生することもある.

 ALPはセルロースアセテート膜またはアガロースゲルの電気泳動により,6分画のアイソザイムに分けられ,病態により1~4分画が出現する.ALP1は肝胆管細胞膜と結合した高分子ALPであり,通常は胆汁中に排泄されているが胆管内圧の上昇時に類洞へ逆流して血中に出現する.ALP2は肝細胞膜のALPが可溶化したものであり,さまざまな肝胆道疾患で合成が亢進して血中濃度が上昇する.ALP3は骨性ALPであり,小児の骨成長期,代謝性疾患や骨破壊性病変に対する反応性の骨増殖が起こっているときにリン酸カルシウム沈着のために合成が亢進する.ALP4は胎盤性ALPであるが,稀に悪性腫瘍由来で出現することもある.ALP5は小腸性ALPであり,リン酸の消化吸収に関与しており,apolipoprotein B-48の代謝と深い関係があるといわれている.消化管での脂肪吸収時に,脂肪とともにリンパ管に入り,胸管を経て大循環に入る.ALP6は免疫グロブリンと結合したALPであり,潰瘍性大腸炎の活動性に伴い血中に出現することがあるが,総ALPへの影響は軽度である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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