文献詳細
文献概要
特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集 血液生化学検査 酵素および関連物質
γ-GTP(γ-グルタミルトランスペプチダーゼ)
著者: 相磯光彦1 滝川一1
所属機関: 1帝京大学医学部内科学講座
ページ範囲:P.184 - P.185
文献購入ページに移動γ-GTP(γ-glutamyl transpeptidase,γ-グルタミルトランスペプチダーゼ)は,ペプチドのN末端のグルタミン酸をほかのペプチドまたはアミノ酸に転移する酵素であり,グルタチオンの分解が生理的役割と考えられており,正式にはγ-glutamyltransferaseと呼ばれる.グルタチオンはγ-グルタミル基をもつペプチドの1つであり,肝ミクロゾームにおける薬物代謝に重要な役割をもち,多くの物質の抱合,解毒,排泄にかかわっている.ほかのペプチダーゼ同様,brush border membraneに局在し,腎尿細管,腸絨毛,膵などにも分布する.肝細胞ではミクロゾームと毛細胆管膜に局在する.血清中のγ-GTPは肝胆道系疾患に特異性が高い.
γ-GTPの特徴の1つはアルコールやある種の薬物によりミクロゾーム酵素としての誘導を受け,肝細胞障害によるトランスアミナーゼ値の上昇程度にそぐわない上昇を示す点である.ただし,酵素誘導によって血中にγ-GTPが上昇する機序は不明である.また,胆道系酵素として肝内および肝外胆汁うっ滞では上昇する.
参考文献
掲載誌情報