icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina47巻11号

2010年10月発行

文献概要

特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集 血液生化学検査 酵素および関連物質

ICG試験

著者: 野村文夫1

所属機関: 1千葉大学大学院医学研究院分子病態解析学

ページ範囲:P.195 - P.196

文献購入ページに移動
異常値の出るメカニズムと臨床的意義

 合成色素であるインドシアニングリーン(indocyanine green:ICG)が静脈内に投与された後に,肝細胞に取り込まれ,胆汁排泄を介して除去される速度を数値化する負荷試験である.色素投与15分後の血中濃度をみる15分停滞率(R15),経時的採血により得られる血漿消失率ICG(KICG)に加え,負荷量を変化させて得られる最大除去率(RMAX)が指標として用いられる.実施が簡便なR15単独で評価されることが多い.ICGには肝臓を介する以外の排泄経路がなく,腸肝循環も知られていないので,本試験は肝臓の異物排泄能を評価するのに適している.

 慢性肝障害の進展に伴い,ICGの除去能が低下するが,その機序としては,肝血流量の低下および肝細胞の色素摂取能の低下が挙げられる.肝硬変におけるICG除去能の低下では肝類洞のcapillarizationと肝内シャント形成による色素摂取能の低下が重要である.臨床的には慢性肝疾患の進展度診断や肝腫瘍の手術適応や切除範囲の決定に際して用いられる.

参考文献

1)浪久利彦,山城雄二:ICG(Indocyanine Green)試験.medicina 21:2434-2435, 1984
2)Lau H, et al:Evaluation of preoperative hepatic function in patients with hepatocellular carcinoma undergoing hepatectomy. Br J Surg 84:1255-1259, 1997
の意義.胆と膵 25:187-193, 2004
4)工藤 篤:Indocyanine Green(ICG)試験の見方.肝胆膵 60:603-611, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?