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文献詳細

雑誌文献

medicina47巻11号

2010年10月発行

文献概要

特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集 血液生化学検査 酵素および関連物質

アシドホスファターゼ(ACP)

著者: 平岡毅郎1 椎名浩昭1 井川幹夫1

所属機関: 1島根大学医学部泌尿器科

ページ範囲:P.202 - P.204

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異常値の出るメカニズムと臨床的意義

 リン酸モノエステルを加水分解する酵素で,至適pHが4.5~6.0の範囲である酵素群はアシドホスファターゼ(acid phosphatase:ACP)と称され,非特異性ホスホモノエステラーゼに属する.

 前立腺組織では他臓器と比較して1,000倍以上のACP〔前立腺アシドホスファターゼ(prostatic acid phosphatase:PAP)〕が産生されるため,ACPの酵素活性は特に前立腺組織で高い.それゆえ,前立腺疾患,特に進行期前立腺癌ではACP活性の上昇がしばしば観察される1).前立腺組織以外では,膵臓,肝臓,腎臓,リンパ球,血小板などでも比較的高いACP活性が認められ,これら臓器あるいは細胞の損傷時には細胞外へ逸脱したACPが血中に遊離し,血液中のACP活性が上昇することになる.

参考文献

1)Rubenstein M, et al:Review of acid phosphatase in the diagnosis and prognosis of prostatic cancers. Clin Physiol Biochem 6:241-252, 1988
2)中 弘志:骨型酒石酸抵抗性酸性フォスファターゼ(tartrate-resistant acid phosphatase-5b:TRACP-5b). 骨粗鬆症治療 8:251-254, 2009
3)岸 浩史,井川幹夫:アシドホスファターゼ(ACP). 日本臨牀 62:365-367, 2004
4)望月善子,他:新規に開発された血中酒石酸抵抗性酸性フォスファターゼ骨型アイソザイム(TRACP-5b)測定キットオスティオリンクス「TRAP-5b」による日内および日間変動と最小有意変化の検討.医学と薬学 54:895-902, 2005
5)楊 鴻生:酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ(TRAP).日本臨牀 62:215-219, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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