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文献詳細

雑誌文献

medicina47巻11号

2010年10月発行

文献概要

特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集 血液生化学検査 糖質および関連物質

HbA1c(グリコヘモグロビン)

著者: 三家登喜夫1

所属機関: 1和歌山県立医科大学医学部臨床検査医学

ページ範囲:P.212 - P.214

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異常値の出るメカニズムと臨床的意義

 ヘモグロビンにグルコースが非酵素的に結合(糖化:glycation)したものがHbA1cである.一般的にヘモグロビンβ鎖N末端のバリン残基が最も糖化されやすい部位(60%以上)である.この検査は,グルコースは自由に赤血球膜を通過できること,赤血球内にはグルコースが結合する相手であるヘモグロビンが十分量存在することより,ヘモグロビンの糖化はグルコース濃度に依存するということを利用したものである.赤血球の寿命を考慮すると,HbA1cの血中(赤血球内)濃度は過去1~2カ月間の血糖コントロール状態を反映すると考えられており,世界中で糖尿病患者の血糖コントロールの指標として用いられている.

 現在までに米国で行われた1型糖尿病患者を用いたDCCT(Diabetes Control and Complications Trail)や本邦で行われたインスリン治療2型糖尿病患者を用いたKumamoto Studyなどにより,HbA1cを低下させると糖尿病の慢性合併症の発症や進展に対して好影響を与えるというエビデンスが報告されており,それぞれHbA1c〔NGSP:National Glycohemoglobin Standardization Program(米国のHbA1c標準化委員会)〕値<7.0%,HbA1c〔JDS:Japan Diabetes Society(日本糖尿病学会)〕値<6.5%が治療目標値として勧告されている.また,糖尿病とは「持続する高血糖状態」であることより,血糖値と同時測定することでHbA1cが糖尿病の診断にも用いられるようになっている.

参考文献

1)ADA, EASD, IFD, IFCC:Consensus statement on the worldwide standardization of the hemoglobin A1c measurement. Diabetes Care 30:2399-2400, 2007
2)植山 実,他:酵素法によるHbA1c測定の国際標準化にむけて.糖尿病 53:385-389, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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