文献詳細
文献概要
特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集 血液生化学検査 糖質および関連物質
尿中微量アルブミン
著者: 古家大祐1
所属機関: 1金沢医科大学糖尿病・内分泌内科
ページ範囲:P.218 - P.220
文献購入ページに移動■尿中微量アルブミン尿の出るメカニズム
腎糸球体毛細血管壁は,内皮細胞,糸球体基底膜,そして,上皮細胞の3層構造である.特に内皮細胞は約200~400nmのプロテオグリカンなど細胞表面を覆う糖と結合した化合物〔グリコカリックス(glycocalyx)〕に覆われている.したがって,水は自由に濾過されるが,分子量の大きいアルブミン(約67,000)などは濾過されない,つまり,尿中に漏れない仕組みとなっている.
実際に,マウスにプロテオグリカン分解酵素を投与するとチャージバリアが障害され,アルブミンが尿中に漏れ出てくることが示されている1).糖尿病状態でみられる腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor:TNF)-αや酸化ストレスの亢進によってグリコカリックスが障害され,さらに血管内皮細胞増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)がアルブミン透過性を亢進させる.
参考文献
掲載誌情報