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特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集 血液生化学検査 脂質・リポ蛋白
Lp(a)[リポプロテイン(a)]
著者: 清島満1 金森寛充1 服部高幸2
所属機関: 1岐阜大学大学院医学系研究科病態情報解析医学 2岐阜大学医学部附属病院検査部
ページ範囲:P.254 - P.256
文献購入ページに移動Lp(a)[リポプロテイン(a)]は1963年にノルウェーのBergによって発見されたリポ蛋白で,動脈硬化と関連しているとされたが,その詳細は不明であった.しかし,1987年にLp(a)の構成アポ蛋白であるアポ(a)の一次構造がプラスミノゲンと著しい相同性を有することが明らかにされ1),Lp(a)が血液凝固線溶系に関与しているものと考えられるようになった.現在,Lp(a)は動脈硬化の独立した危険因子とされており,臨床的な評価に関しては,例えば冠動脈疾患や脳血管障害など,動脈硬化性疾患において高値であるとする報告が多い.
一方,アポ(a)はアポB-100とS-S結合して存在しているが,このアポ(a)にはプラスミノゲンのクリングルIVの繰り返し構造があり,この繰り返し数が個体によって異なっているためにアポ(a)の分子量に多様性が生じ,Lp(a)に種々のフェノタイプが存在する原因となっている.すなわち,繰り返し数が少ないほどアポ(a)分子が多く合成されることになり,結果としてLp(a)濃度が高く,その意味でLp(a)濃度は遺伝的に規定されているといえる(環境因子は20~30%といわれている).
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