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文献詳細

雑誌文献

medicina47巻11号

2010年10月発行

文献概要

特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集 内分泌学的検査 下垂体

ADH(抗利尿ホルモン,バゾプレシン)

著者: 庄司優1

所属機関: 1明治薬科大学大学院薬学研究科薬効学

ページ範囲:P.319 - P.321

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異常値の出るメカニズムと臨床的意義

 抗利尿ホルモン(antidiuretic hormone:ADH)はアミノ酸9個からなるペプチドホルモンである.その前駆体は視床下部で転写・翻訳を受け,軸索輸送下にプロセシングされて下垂体後葉に貯えられ刺激を受けて分泌される.分泌されたADHは腎集合管のV2受容体に作用し,水再吸収を亢進させて抗利尿作用を発揮する.また,細動脈平滑筋のV1a受容体に作用して血管を収縮させ,下垂体前葉の副腎皮質刺激ホルモン(adrenocorticotropic hormone:ACTH)細胞のV1b受容体に作用してACTHの分泌を促す.

 ADHの半減期は約13分であり,血漿ADH濃度は下垂体後葉からの分泌を反映する.分泌の調節は主に浸透圧受容体,容量受容体,圧受容体を介した刺激によって行われている.最も重要な分泌調節因子は血漿浸透圧である.血漿ADH濃度と血漿浸透圧との間には正の相関関係が認められる.血漿浸透圧が272mOsm/kg以下になると,健常者ではADHは検出されない(図1).

参考文献

1)木村時久:電解質異常とvasopressinおよび心房性Na利尿ホルモン.日内会誌87:1015-1022,1998
2)庄司 優,木村時久,保嶋 実:バソプレシン遺伝子発現調節と分泌調節.日本臨牀63:460-465,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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