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文献詳細

雑誌文献

medicina47巻11号

2010年10月発行

文献概要

特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集 内分泌学的検査 甲状腺・副甲状腺

カルシトニン

著者: 石川敏夫1

所属機関: 1帝京大学医学部附属病院内科

ページ範囲:P.338 - P.340

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異常値の出るメカニズムと臨床的意義

 カルシトニンは甲状腺C細胞から分泌される32個のアミノ酸からなるホルモンである.C細胞由来腫瘍である甲状腺髄様癌の患者では高カルシトニン血症がみられる.また,肺小細胞癌,乳癌,カルチノイド症候群,膵癌,褐色細胞腫,副腎皮質癌,子宮頸癌などの腫瘍が異所性にカルシトニンを産生している場合も異常高値になりうる.一方,血清カルシトニンが低値(甲状腺全摘術後など)の場合には,臨床的意義はないと考えてよい.

 臨床現場では高・低カルシウム血症の原因究明のためと称してカルシトニンが測定されていることがあるが,ほとんど役には立たない.また,かつては骨粗鬆症にエルカトニン注射が汎用されていたことから,骨粗鬆症患者におけるカルシトニン不足が疑われたが,実際には患者で血清カルシトニンが低い傾向は認められなかった1)ので,骨粗鬆症患者でもカルシトニンを測定する意味はほとんどない.カルシトニンは確かに骨吸収を抑制するが,そもそもヒトにおいては生理的にどれだけ重要であるのか不明であり,例えば甲状腺全摘術後に甲状腺ホルモン補充は必須であるが,カルシトニンは補充されない.

参考文献

1)Prince RL, et al:Plasma calcitonin levels are not lower than normal in osteoporotic women. J Clin Endocrinol Metab 68:684-687, 1989
2)Elisei R, et al:Impact of routine measurement of serum calcitonin on the diagnosis and outcome of medullary thyroid cancer;Experience in 10,864 patients with nodular thyroid disorders. J Clin Endocrinol Metab 89:163-168, 2004
3)Toledo SP, et al:Hypercalcitonemia is not pathognomonic of medullary thyroid carcinoma. Clinics 64:699-706, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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