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文献詳細

雑誌文献

medicina47巻11号

2010年10月発行

文献概要

特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集 免疫学的検査 感染関連検査〈ウイルス関連検査〉

そのほかの肝炎ウイルス関連検査―D型肝炎ウイルス,E型肝炎ウイルス

著者: 青木孝彦1 伊藤清顕1 溝上雅史1

所属機関: 1国立国際医療研究センター国府台病院肝炎免疫センター

ページ範囲:P.382 - P.384

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D型(デルタ)肝炎

異常値の出るメカニズムと臨床的意義

 D型肝炎ウイルス(hepatitis D virus:HDV)はHBs抗原をウイルス外被とするため,B型肝炎ウイルス(hepatitis B virus:HBV)存在下でのみ感染可能となる.D型肝炎はA型,E型以外のウイルス性肝炎として感染症法により5類感染症に指定されており,診断より7日以内に保健所長を介して都道府県知事に届出の義務がある.欧米に比べ本邦ではD型肝炎の頻度は低く,HBs抗原陽性者の0.6%と報告されている.しかし,B型急性肝炎患者における欧米型遺伝子株の増加が近年顕著となっており,HBs抗原陽性者の重症肝炎ではHDV感染の可能性についても考慮する必要がある.HBVとの同時感染(coinfection)とHBVキャリアへの重複感染(superinfection)では肝障害および関連マーカーの経過が異なるものの,診断にはELISA法を用いたIgMクラス抗体およびRT-PCR法を用いたHDV-RNAの検出が最も正確である.特に同時感染ではIgM HDV抗体はIgM HBc抗体と同様に肝障害の改善とともに減少傾向を認める.慢性化する場合ではIgM抗体も遷延化し,total HDV抗体の力価は上昇していく(図1).

参考文献

1)Lucy E, et al:Hepatitis Delta Virus:The molecular basis of laboratory diagnosis. Crit Rev Clin Lab Sci 37:45-92, 2000
2)研究代表者八橋 弘:平成21年度厚生労働省科学研究費補助金献血者でのHBV-DNA陽性血におけるデルタ肝炎ウイルス感染の実態に関する研究.総括研究報告書,2010
3)Shujun Z, et al:Clinical significance of anit-hev IgA in diagnosis of acute genotype 4 hepatitis E virus infection negative for anti-HEV IgM. Dig Dis Sci 54:2512-2518, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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