icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina47巻11号

2010年10月発行

文献概要

特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集 免疫学的検査 感染関連検査〈微生物の抗原・抗体検査〉

クラミジアトラコマチス抗原・抗体

著者: 福地邦彦1

所属機関: 1昭和大学医学部臨床病理学

ページ範囲:P.408 - P.410

文献購入ページに移動
異常値の出るメカニズムと臨床的意義

 クラミジア属(Chlamydiaceae)のうち,C. trachomatisとC. pneumoniaeはヒトを自然宿主とした病原体で,C. psittaciは動物の病原体であるがヒトにも感染してオウム病の原因となる.このうちC. trachomatisはわが国で最も頻度の高い性行為感染症であり,尿路・生殖器感染症の原因となり,また眼に感染すると結膜炎の原因となる.

 クラミジアは偏性細胞内寄生体で,感染性粒子の基本小体(elementary body:EB),増殖能を有する網様体(reticular body:RB),およびその中間体(intermediate form:IF)の形態をとり,EBが上皮に感染し,RBとなり増殖後,IFを経てEBへと変換するという増殖サイクルをもつ.感染後,数週間で発症し,男性では尿道から透明な膿が,女性ではおりものが増えるが,無症状のこともある.放置すると,深部に上行し,感染が拡大し,多彩な疾患・病態を呈する.また,オーラルセックスにより経口感染し咽頭炎を発症する.新生児では産道感染して肺炎や結膜炎を起こす.クラミジア感染の診断には,抗原検査と抗体検査が行われる.

参考文献

1)金井正光(監修):臨床検査法提要,改訂第33版.金原出版,2010
2)岸本寿男:性器クラミジア(クラミジア・トラコマチス),肺炎クラミジア(クラミドフィラ・ニューモニエ.日本臨牀63(増刊号):220-226, 2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?