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文献詳細

雑誌文献

medicina47巻11号

2010年10月発行

文献概要

特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集 免疫学的検査 自己免疫関連検査

抗ミトコンドリア抗体

著者: 平形道人1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部内科・医学教育統轄センター

ページ範囲:P.460 - P.462

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異常値の出るメカニズムと臨床的意義

 抗ミトコンドリア抗体(anti-mitochondrial antibody:AMA)は,原発性胆汁性肝硬変症(primary biliary cirrhosis:PBC)に高頻度(約90%)かつ特異的に検出され,PBCの診断のうえで重要な検査である.胆道系酵素(ALP,γ-GTP)優位の肝機能障害や黄疸を呈し,肝炎ウイルスマーカー陰性で,閉塞性黄疸が否定的な場合,AMAを測定し,PBCの鑑別診断を進める.しかし,すべての細胞に存在するミトコンドリアに対する自己抗体が,肝臓を標的とする臓器特異自己免疫疾患であるPBCにおいて産生される機序は不明である.

 AMAの対応抗原にはM1~M9までの亜分画(Berg)がある.このなかでミトコンドリア内膜蛋白に対する自己抗体である抗M2抗体がPBCに特異的であるが,ほかの亜分画に対する抗体は他疾患でも検出される.

参考文献

1)石橋大海:抗ミトコンドリア抗体,抗ミトコンドリアM2抗体.古澤新平,金山正明,橋本博史(編):臨床検査診断マニュアル,改訂第2版,pp369-370, 永井書店,2001
2)上村朝輝:抗ミトコンドリア抗体.和田 攻,他(編):臨床検査ガイド2005-2006,pp743-745,文光堂,2005
3)大曲勝久,他:原発性胆汁性肝硬変症の経過観察における「MESACUP-2テストミトコンドリアM2」測定の臨床的意義―蛍光抗体間接法との比較検討.医と薬学50:543-550, 2003
4)竹村真理,大矢和彦,小島和夫:MESACUP-2テスト ミトコンドリアM2の基礎的検討.医と薬学46:809-816, 2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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