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文献詳細

雑誌文献

medicina47巻11号

2010年10月発行

文献概要

特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集 免疫学的検査 サイトカイン

EPO(エリスロポエチン)

著者: 別所正美1

所属機関: 1埼玉医科大学血液内科

ページ範囲:P.508 - P.510

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異常値の出るメカニズムと臨床的意義

 エリスロポエチン(erythropoietin:EPO)は,胎児期には肝で,妊娠30週頃以降には主として腎で産生される分子量30.4kDaの糖蛋白で,骨髄における赤芽球系造血前駆細胞の分化・増殖を刺激するとともに,アポトーシスを抑制することによって赤血球の産生量を調節する造血因子である.したがって,血中EPO濃度の測定は生体内での赤血球造血や腎機能の状態を把握する指標となりうる.

 EPOによる赤血球産生の調節機構は図1のようになる.すなわち,腎機能が正常な場合には,貧血や心・肺疾患などによって組織が低酸素に陥ると,腎のEPO産生細胞がこれを感知し,EPO産生が亢進する.その結果,骨髄における赤血球産生が促進され,赤血球数が増加することによって組織への酸素供給が高まり,低酸素は解消される.一方,腎に障害がある場合には,貧血があっても赤血球量を維持するに十分なEPOが産生されない.また,炎症や腫瘍がある場合にも,種々のサイトカインによって腎におけるEPO産生が抑制される.このように,血中EPO濃度は腎機能の状態,炎症や腫瘍の有無などによって大きく影響を受けることになる.

参考文献

1)椿原美治(日本透析医学会腎性貧血治療のガイドライン改定ワーキンググループ):腎性貧血を呈する保存期慢性腎不全患者の血漿EPO濃度の解析.日腎誌49:292, 2007
2)日本透析医学会:慢性腎臓病における腎性貧血治療のガイドライン.透析会誌41:661-716, 2008
3)Toyoda A, et al:Serum erythropoietin in various hematological diseases;A multicenter study. Exp Hematol 21:1085, 1993
4)Cotes PM:Physiological studies of erythropoietin in plasma. Jelkmann W, Gross AJ(eds):Erythropoietin, pp 57-79, Springer-Verlag, Berlin, 1989

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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