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文献詳細

雑誌文献

medicina47巻11号

2010年10月発行

文献概要

特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集 腫瘍マーカー 消化器系

AFP,AFP-L3分画

著者: 松岡俊一1 楡井和重1 森山光彦1

所属機関: 1日本大学医学部内科学系消化器肝臓内科分野

ページ範囲:P.512 - P.514

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異常値の出るメカニズムと臨床的意義

 α-フェトプロテイン(α-fetoprotein:AFP)は分子量70,000,590アミノ酸からなる糖蛋白で,胎生期に肝臓や卵黄囊から産生される.胎生期にアルブミンと類似した機能をし,1歳以降は生体内でほとんど産生されなくなるが,癌化(肝細胞癌など)などによって蛋白産生調節が幼若化をきたすと再び産生されると考えられている.肝細胞癌でのAFP陽性率は62%と報告されている1).わが国の肝癌診療ガイドライン2005年での肝細胞癌サーベイランスアルゴリズムにはウイルス性肝硬変などの高リスク群に対して画像検査およびAFPなどの腫瘍マーカーの測定によって肝細胞癌をサーベイランスすることを推奨している2)

 急性肝炎(肝不全)および慢性肝炎,肝硬変でも上昇することがあり,特に慢性ウイルス性肝疾患でのAFP経過観察では注意を要するが,上昇したAFPが自然に低下する場合には肝臓の炎症に伴う良性の変化であることが多い.肝細胞癌はレンズマメレクチンに親和性を有する分画の増加を認め,これをL3分画と表現して,良性肝疾患由来AFP陽性例と判別する3)

参考文献

1)日本肝癌研究会肝癌追跡調査委員会(編):第15回全国原発性肝癌追跡調査報告,日本肝癌研究会事務局,2002
2)科学的根拠に基づいた肝癌診療ガイドライン作成に関する研究班:肝癌診療ガイドライン.金原出版,2005
3)Aoyagi Y, et al:The fucosylation index of alpha-fetoprotein and its usefulness in the early diagnosis of hepatocellular carcinoma. Cancer 61:769-774, 1988
4)松岡俊一,森山光彦:肝癌と臨床検査.Med Tech 36:2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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