文献詳細
文献概要
特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集 腫瘍マーカー 消化器系
CEA(癌胎児性抗原)
著者: 三方林太郎1 横須賀收1
所属機関: 1千葉大学大学院医学研究院腫瘍内科学
ページ範囲:P.515 - P.517
文献購入ページに移動CEAは,1965年,Goldらによってヒト大腸癌および胎児組織に見いだされた糖蛋白質であり,癌胎児性抗原(carcinoembryonic antigen)と名付けられた.668個のアミノ酸よりなるIgG supergene familyの一員で,その28カ所に糖鎖結合部位をもち,分子量の50~60%が糖鎖で占められている1).CEAは微量ながら,正常成人においても,胃,大腸,胆管などの粘膜上皮に発現している.上皮細胞膜の管腔側の表面に存在し,通常,血液や組織液と接することなく排泄され,血中には認められない.しかし,癌組織においては,細胞極性が乱れ組織構築が壊れ,管腔側だけでなく細胞膜全体からCEAが分泌され,血管,リンパ管へ流出するようになる.CEAは肝で異化されるため,その血中濃度は腫瘍組織における産生量,血中への移行量,肝での異化量などに依存している.
参考文献
掲載誌情報