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文献詳細

雑誌文献

medicina47巻11号

2010年10月発行

文献概要

特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集 腫瘍マーカー 消化器系

エラスターゼ1

著者: 岡田祐二1

所属機関: 1名古屋市立大学大学院医学研究科消化器外科学

ページ範囲:P.521 - P.523

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異常値の出るメカニズムと臨床意義

 エラスターゼ1は膵液中に存在する膵外分泌消化酵素の1つであり,結合組織の弾性線維エラスチンを加水分解するセリンプロテアーゼである.ヒト膵液中にはエラスターゼ1(anionic elastase)とエラスターゼ2(cationic elastase)の2種類が存在する.膵の腺房細胞にプロエラスターゼとして局在し,腸に分泌されてトリプシンにより活性化される.膵臓のほか脾臓,大動脈壁,白血球,血小板にも存在が確認され,急性炎症などの情報となる顆粒球エラスターゼとは免疫学的に区別される.

 異常値の出るメカニズムとしては,膵臓に発生する炎症による膵組織の傷害や,膵管閉塞による膵液のうっ滞などにより腺房細胞から血中に逸脱することにより高値を呈すると考えられる.血中の膵アミラーゼやトリプシンなどと同様に,膵から血中へのエラスターゼの逸脱量の増減で膵障害の存在を推測する.エラスターゼ1は膵特異性が高く,ほかの膵酵素に比べて血中半減期が長いという特徴がある.

参考文献

1)中野 哲,他:Elastase測定の臨床的意義.胆と膵2:1185-1192,1981
2)渡辺伸一郎,他:血清Elastase-1の膵疾患における臨床的意義.日消誌80:1001-1006,1983
3)鄭 容錫,他:ヒト膵elastase 1 のradioimmunoassay法および膵障害例の血中elastase1値の検討.日外会誌82:1248-1254,1981
4)山村倫子,他:血清CA19-9とElastase 1の組み合わせによる膵癌診断の有用性.成人病30:163-168,1990

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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