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文献詳細

雑誌文献

medicina47巻11号

2010年10月発行

文献概要

特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集 腫瘍マーカー 消化器系

KMO1

著者: 神垣隆1 後藤重則1 具英成2

所属機関: 1瀬田クリニック 2神戸大学大学院医科系研究科外科学講座肝胆膵外科分野

ページ範囲:P.527 - P.529

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異常値の出るメカニズムと臨床的意義

 KMO1はヒト株化大腸癌細胞COLO201を免疫原としてハイブリドーマ法で作製されたモノクローナル抗体により認識されるI型癌関連糖鎖抗原である1, 2).薄層クロマトグラフィの解析ではKMO1抗原である糖脂質はシアル化Lewisa(Lea)と同じ移動相を示す主バンドと,それより分子量の大きな2つのバンドとして検出され,この主バンドはCA19-9(carbohydrate antigen 19-9)抗原と同じsialated lacto-N-fuco pentaose IIである.したがって,KMO1はシアル化Leaにさらに糖が付加した長鎖シアル化Leaと考えられる.このように,KMO1は癌細胞表面では糖脂質上に存在しているが,一方,血中では高分子の糖蛋白質(おそらくムチン)上に糖鎖抗原として存在すると考えられている3).KMO1抗原決定基はCA19-9に近似しており,膵癌あるいは胆道癌などにおいて高い陽性率を示す.一方,CA19-9と異なり肝癌においても高い陽性率を示し,α-フェトプロテイン(α-fetoprotein:AFP)と明らかな交差性を認めず,AFP陰性例において陽性を示すことがある4)

参考文献

1)大柳治正,他:新しいモノクローナル抗体で検出される膵癌診断用のKMO1の特異性について.日消誌82:1572-1579,1985
2)斎藤洋一,他:新しい腫瘍マーカーKMO1の臨床的検討.診断と治療11:2447-2454,1986
3)Kano Y,et al:Characterization of an antigen defined by monoclonal antibody KMO1. Hybridoma 9:363-375, 1990
4)斎藤洋一,他:RPHA法による新しい腫瘍マーカーKMO1の臨床応用|肝癌についての検討.診断と治療74:2079-2084,1986
5)曽山信彦,大柳治正,斎藤洋一:胆道癌と腫瘍マーカー.臨消内科5:389-397,1990
6)神垣 隆,山本正博:膵癌の腫瘍マーカー(CEA,CA19-9,DU-PAN-2,その他).肝胆膵34:757-763,1997

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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