文献詳細
特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
腫瘍マーカー 消化器系
文献概要
異常値の出るメカニズムと臨床的意義
SPan-1は1985年にKyriazisらによりヒト膵癌培養細胞株SW1990を用いて作製されたマウスモノクローナル抗体が認識する癌関連抗原である1,2).この抗体はマウスIgM抗体に属し,認識する抗原は膵癌細胞の膜構成成分であるとともに,強い分泌性を有する.SPan-1のエピトープはシアル酸をその非還元末端に有する糖鎖で,巨大なムチン様蛋白分子上に存在し,シアル化Lewisa(Lea)とシアル化Lecの2つの糖鎖構造を認識すると考えられている.SPan-1抗原は正常膵管上皮と腺房細胞の一部に認められ,胆管上皮,腎尿細管上皮,気管上皮に軽度に認められるが,Langerhans島細胞には認められず,十二指腸,食道,副腎,心,肺,肝などにも認められない1).
癌関連抗原として,膵癌において最も高い陽性率を認める.胆道癌についても高い陽性率を認め,胃癌,大腸癌,肝癌といった消化器癌のほか,肺癌,乳癌,悪性リンパ腫でも陽性例が認められる.また,良性の膵疾患,肝疾患でも異常値を示す場合があり,注意を要する.
SPan-1は1985年にKyriazisらによりヒト膵癌培養細胞株SW1990を用いて作製されたマウスモノクローナル抗体が認識する癌関連抗原である1,2).この抗体はマウスIgM抗体に属し,認識する抗原は膵癌細胞の膜構成成分であるとともに,強い分泌性を有する.SPan-1のエピトープはシアル酸をその非還元末端に有する糖鎖で,巨大なムチン様蛋白分子上に存在し,シアル化Lewisa(Lea)とシアル化Lecの2つの糖鎖構造を認識すると考えられている.SPan-1抗原は正常膵管上皮と腺房細胞の一部に認められ,胆管上皮,腎尿細管上皮,気管上皮に軽度に認められるが,Langerhans島細胞には認められず,十二指腸,食道,副腎,心,肺,肝などにも認められない1).
癌関連抗原として,膵癌において最も高い陽性率を認める.胆道癌についても高い陽性率を認め,胃癌,大腸癌,肝癌といった消化器癌のほか,肺癌,乳癌,悪性リンパ腫でも陽性例が認められる.また,良性の膵疾患,肝疾患でも異常値を示す場合があり,注意を要する.
参考文献
1)鄭 容錫,他:膵癌に対する新しいモノクローナル抗体(SPan-1-7)の作製と免疫生化学的検討.日外誌88:89-95, 1987
2)Kyriazus AP, et al:Establishment and characterization of human pancreatic adenocarcinoma cell line SW-1990 in tissue culture and the nude mouse. Cancer Res 43:4393-4401, 1983
3)梅山 馨,他:新しい膵癌関連SPan-1抗原の測定法とその臨床的有用性に関する検討.膵臓3:528-539, 1988
4)仲田文造,他:膵癌関連SPan-1抗原測定の肝・胆・膵疾患における臨床的意義.日消誌87:1050-1055, 1988
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