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文献詳細

雑誌文献

medicina47巻11号

2010年10月発行

文献概要

特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集 腫瘍マーカー 消化器系

NCC-ST-439

著者: 濱田晋1 下瀬川徹1

所属機関: 1東北大学病院消化器内科

ページ範囲:P.536 - P.537

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異常値の出るメカニズムと臨床的意義

 NCC-ST-439は糖鎖抗原の一種であるシアリルLewis X抗原に属し,乳癌および膵癌,胆管癌,大腸癌などの消化器系癌の腫瘍マーカーとして利用される.正常細胞においては細胞表面の糖鎖は多様な修飾を受けているが,癌細胞においてはその修飾機構が機能不全に至り,発現する糖鎖が単純化する.結果として,癌患者においてはこれらの糖鎖抗原の血中濃度が増加する.したがって,本検査項目は乳癌や各種消化器癌における臨床的意義が高い.

 CEA(carcinoembryonic antigen:癌胎児性抗原)やCA(carbohydrate antigen:糖鎖抗原)19-9といった消化器癌において広く用いられている腫瘍マーカーと比較して,感度は劣るものの,特異度において優れていることが報告されている1).臨床的には外科治療後の再発の早期診断や,化学療法の効果判定の指標の1つとして用いられることが多い.

参考文献

1)安斎勝行,他:消化器癌におけるNCC-ST-439の臨床的有用性の検討.日癌治療会誌 25:1437-1447,1990
2)岡村泰彦,他:乳癌における腫瘍マーカーNCC-ST-439の臨床的意義-CA15-3, CEAおよびTPAとの比較検討.癌と化療 18:1279-1285,1991
3)木村寿成,他:消化器癌,特に膵癌におけるNCC-ST-439の臨床的有用性―他の癌性糖鎖抗原との比較検討.消化器科 13:611-618, 1990

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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