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文献詳細

雑誌文献

medicina47巻11号

2010年10月発行

文献概要

特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集 腫瘍マーカー 消化器系

PIVKA-Ⅱ

著者: 松岡俊一1 楡井和重1 森山光彦1

所属機関: 1日本大学医学部内科学系消化器肝臓内科分野

ページ範囲:P.540 - P.541

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異常値の出るメカニズムと臨床的意義

 PIVKA-Ⅱ(protein induced by vitamin K absence factor Ⅱ:ビタミンK欠乏時産生蛋白)は,ビタミンK欠乏時やワルファリンなどのアンタゴニスト存在下で増加するプロトロンビン前駆体である.プロトロンビンを代表とするビタミンK依存性凝固因子の前駆体は,N末端領域にγカルボキシグルタミン酸残基に富む領域をもち,このγ位に炭酸が固定されるγカルボキシル化により生理活性をもつ正常ビタミンK依存性凝固因子になる.

 PIVKA-Ⅱは凝固活性をもたない異常トロンビンであり,肝細胞癌患者で特異的に増加することが示され,わが国で開発され,1989年より保険適応となっており,AFP(α-fetoprotein:α-フェトプロテイン)と並ぶ肝細胞癌の腫瘍マーカーとして普及されている.最近の見解では,感度が28~89%,特異度が87~96%で,AFPより感度が劣るものの,肝細胞癌に特異性が高いと報告1)されている.陽性例は門脈浸潤例や多発例が多く,生存率が低いとされる.PIVKA-Ⅱは肝細胞癌の有用な予後予測マーカーといえるが,アルコール性肝疾患や閉塞性黄疸症例,ワルファリン投与例で上昇するので,日常診療では注意を要する.

参考文献

1)Spangenberg HC, Thimme R, Blum HE:Serum markers of hepatocellular carcinoma. Semin Liver Dis 26:385-390, 2006
2)科学的根拠に基づいた肝癌診療ガイドライン作成に関する研究班:肝癌診療ガイドライン.金原出版,2005
3)松岡俊一,森山光彦:肝癌と臨床検査(2.血液検査).Medi Technol 36:1015-1019, 2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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