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特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集 腫瘍マーカー 消化器系
PIVKA-Ⅱ
著者: 松岡俊一1 楡井和重1 森山光彦1
所属機関: 1日本大学医学部内科学系消化器肝臓内科分野
ページ範囲:P.540 - P.541
文献購入ページに移動PIVKA-Ⅱ(protein induced by vitamin K absence factor Ⅱ:ビタミンK欠乏時産生蛋白)は,ビタミンK欠乏時やワルファリンなどのアンタゴニスト存在下で増加するプロトロンビン前駆体である.プロトロンビンを代表とするビタミンK依存性凝固因子の前駆体は,N末端領域にγカルボキシグルタミン酸残基に富む領域をもち,このγ位に炭酸が固定されるγカルボキシル化により生理活性をもつ正常ビタミンK依存性凝固因子になる.
PIVKA-Ⅱは凝固活性をもたない異常トロンビンであり,肝細胞癌患者で特異的に増加することが示され,わが国で開発され,1989年より保険適応となっており,AFP(α-fetoprotein:α-フェトプロテイン)と並ぶ肝細胞癌の腫瘍マーカーとして普及されている.最近の見解では,感度が28~89%,特異度が87~96%で,AFPより感度が劣るものの,肝細胞癌に特異性が高いと報告1)されている.陽性例は門脈浸潤例や多発例が多く,生存率が低いとされる.PIVKA-Ⅱは肝細胞癌の有用な予後予測マーカーといえるが,アルコール性肝疾患や閉塞性黄疸症例,ワルファリン投与例で上昇するので,日常診療では注意を要する.
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