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文献詳細

雑誌文献

medicina47巻11号

2010年10月発行

文献概要

特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集 腫瘍マーカー 呼吸器系

NSE,proGRP

著者: 後東久嗣1 曽根三郎1

所属機関: 1徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部/呼吸器・膠原病内科学分野

ページ範囲:P.545 - P.546

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異常値の出るメカニズムと臨床的意義

 NSEはneuron specific enolaseの略称である.エノラーゼは全身組織に分布する解糖系酵素で,分子量5万のα,β,γサブユニットの二量体として存在し,5種類のアイソザイム(αα,ββ,γγ,αβ,αγ)が知られている.この中でγサブユニットを有するαγとγγで構成されるエノラーゼは,神経組織と軸索突起に特異的に存在することからNSEと呼ばれる.

 NSEはウシまたはヒトの脳から抽出されたγγ型エノラーゼに対するモノクローナル抗体を用いて測定され,現在RIA(radioimmuno assay:放射免疫測定)法,IRMA(immuno radiometric assay:ビーズ固相)法,EIA(enzyme immunoassay:酵素免疫測定)法が開発されている.これらの各測定法で用いられる抗体はαγ型エノラーゼに対しても10~40%の交差を示す.NSEは細胞逸脱酵素であるため,その上昇はNSE含有細胞の崩壊を反映する.すなわち悪性腫瘍などで細胞が旺盛な増殖をしていて細胞のturn overが激しい場合や,化学療法や放射線療法により癌細胞が破壊された場合にNSE値が上昇する.NSEは脳の可溶性成分の約1%を占め,末梢神経や神経内分泌組織にも大量に存在することが報告されており,その存在の特異性から神経内分泌腫瘍,神経芽細胞腫,小細胞肺癌に対して特異性が高い.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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