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文献詳細

雑誌文献

medicina47巻11号

2010年10月発行

文献概要

特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集 細菌検査 検体別同定検査各論

尿培養検査

著者: 熊坂一成1

所属機関: 1上尾中央総合病院臨床検査科

ページ範囲:P.564 - P.565

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異常値の出るメカニズムと臨床的意義

 尿道には少数の細菌が常在しているが,膀胱内の尿は無菌である.女性は男性に比べて尿道が短いため,細菌は膀胱に侵入しやすい.細菌が膀胱に達しても排尿により細菌は迅速に排除される.著しい高尿素窒素濃度,高浸透圧,酸性を呈する尿は細菌の増殖を抑制する.膀胱粘膜表面にはムチン層が存在し,細菌の膀胱上皮への付着を防いでおり,付着しても細菌とともに上皮が剥離する.さらに膀胱上皮は細菌に反応してサイトカインを分泌し,膀胱上皮と尿中への好中球の遊走を促し細菌を貪食する.これらの防御メカニズムが破綻した場合に尿路感染症が起きる.大部分の尿路感染症は,尿道に常在しないグラム陰性桿菌(大多数は大腸菌)が尿道から膀胱に入り膀胱炎を起こす.細菌が膀胱から尿管を逆行すれば急性腎盂腎炎を起こし,重篤な場合は腎実質の膿瘍や敗血症を発症する.

 一方,敗血症の原因菌が尿中から検出されることがある.黄色ブドウ球菌,真菌,サルモネラが尿から分離された場合,ほかの遠隔感染巣から,血行性に腎臓に病変を生じた可能性が高い.

参考文献

1)日本化学療法学会UTI 薬効評価基準見直しのための委員会:尿路性器感染症に関する臨床試験実施のためのガイドライン,第1版.日化療会誌57:511-525,2009
2)青木 誠:尿路・泌尿器関連感染症.レジデントのための感染症診療マニュアル,第2版,pp 547-584,医学書院,2008
3)Sobel JD, et al:Urinary tract infections. Mandell G, et al(eds):Mandell, Douglas, and Bennett's Principles and Practice of Infectious Diseases;Expert Consult Premium, 7th ed, pp 957-985, Churchill Livingstone, Philadelphia, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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