文献詳細
文献概要
特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集 免疫学的検査 感染関連検査〈微生物の抗原・抗体検査〉
つつが虫病抗体
著者: 岡山昭彦1 橘宣祥2
所属機関: 1宮崎大学医学部内科学講座免疫感染病態学分野 2慈光会宮崎若草病院
ページ範囲:P.422 - P.423
文献購入ページに移動つつが虫病は発熱,発疹,刺し口を3主徴とする感染症であり,4類感染症のなかで2番目に頻度が高く,本邦では北海道を除くすべての地域に発生がみられる.山歩きなどの機会に病原体であるOrientia tsutsugamushiを保有するダニ(ツツガムシの幼虫)に刺されることにより感染する.感染より7~14日の潜伏期の後に急激な発熱で発症し,頭痛,悪寒,全身倦怠感,筋肉や関節の痛みを伴う.発疹は2~5病日に顔面,体幹から出現する.刺し口は径約10 mmの黒色痂皮で覆われた潰瘍で,周囲に発赤,腫脹を認める.リンパ節腫脹,肝脾腫を伴うことがある.テトラサイクリン系抗菌薬が著効するが,重症例ではDIC(disseminated intravascular coagulation:播種性血管内凝固異常)やショックを合併し,死に至ることもある.
病原診断として血清抗体価の測定,病原体分離,PCR(polymerase chain reaction:ポリメラーゼ連鎖反応)法による遺伝子診断があるが,後2者は一般の検査機関では行われておらず,免疫血清学的診断が通常行われる.
参考文献
掲載誌情報