icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina47巻11号

2010年10月発行

文献概要

特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集 免疫学的検査 感染関連検査〈微生物の抗原・抗体検査〉

つつが虫病抗体

著者: 岡山昭彦1 橘宣祥2

所属機関: 1宮崎大学医学部内科学講座免疫感染病態学分野 2慈光会宮崎若草病院

ページ範囲:P.422 - P.423

文献購入ページに移動
異常値の出るメカニズムと臨床的意義

 つつが虫病は発熱,発疹,刺し口を3主徴とする感染症であり,4類感染症のなかで2番目に頻度が高く,本邦では北海道を除くすべての地域に発生がみられる.山歩きなどの機会に病原体であるOrientia tsutsugamushiを保有するダニ(ツツガムシの幼虫)に刺されることにより感染する.感染より7~14日の潜伏期の後に急激な発熱で発症し,頭痛,悪寒,全身倦怠感,筋肉や関節の痛みを伴う.発疹は2~5病日に顔面,体幹から出現する.刺し口は径約10 mmの黒色痂皮で覆われた潰瘍で,周囲に発赤,腫脹を認める.リンパ節腫脹,肝脾腫を伴うことがある.テトラサイクリン系抗菌薬が著効するが,重症例ではDIC(disseminated intravascular coagulation:播種性血管内凝固異常)やショックを合併し,死に至ることもある.

 病原診断として血清抗体価の測定,病原体分離,PCR(polymerase chain reaction:ポリメラーゼ連鎖反応)法による遺伝子診断があるが,後2者は一般の検査機関では行われておらず,免疫血清学的診断が通常行われる.

参考文献

1)Tamura A, et al:Classification of Rickettsia tsutsugamushi in a new genus, Orientia gen. nov., as Orientia tsutsugamushi comb. nov. Int J Syst Bacteriol 45:589-591, 1995
2)橘 宣祥,岡山昭彦:つつがむし病.日本臨牀 65(増刊号):208-211, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?