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特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集 免疫学的検査 自己免疫関連検査
抗ENA抗体
著者: 窪田哲朗1
所属機関: 1東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科
ページ範囲:P.440 - P.441
文献購入ページに移動それまでの臓器特異的な疾患概念を打ち破って,Klempererらが,種々の臓器の結合組織にフィブリノイド変性などをきたす全身性疾患,膠原病(collagen diseases)というカテゴリーを提唱したのは1942年のことであった.やがて,Hargravesらが全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)の骨髄標本中にLE細胞を発見した1948年頃から,抗核抗体の存在が知られるようになり,膠原病は全身性の自己免疫疾患であると認識されるようになった.1950年頃には,SLE血清中の抗核抗体の対応抗原はDNAであることが判明し,抗DNA抗体の性質や病態との関連について研究が行われるようになった.
1960年代になると,細胞の核抽出液中にはDNA以外にも膠原病患者抗体と反応する抗原がいろいろと含まれていることが見いだされ,extractable nuclear antigens(ENA)として盛んに研究されるようになった.ENAとしては,ヒトの脾臓,ウシやウサギの胸腺などの組織をホモジナイズして超遠心で核分画を得,さらにリン酸緩衝食塩水中でホモジナイズして遠心した上清などが用いられ,臨床的にも意義のある数々の抗ENA抗体が発見されることになった.
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