icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina47巻11号

2010年10月発行

文献概要

特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集 免疫学的検査 自己免疫関連検査

抗平滑筋抗体

著者: 佐伯千里1 銭谷幹男1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学消化器・肝臓内科

ページ範囲:P.466 - P.467

文献購入ページに移動
異常値の出るメカニズムと臨床的意義

 抗平滑筋抗体(anti-smooth muscle antibody:SMA)は,ラット胃壁平滑筋に対する自己抗体であり,1965年,Jonsonらにより自己免疫性肝炎(autoimmune hepatitis:AIH)患者の血清において陽性を示すことが報告された.そして,AIH同様,抗核抗体(anti-nuclear antibody:ANA)が陽性となる自己免疫疾患,全身性エリテマトーデス(systemic lupus eryhtematosus:SLE)などではSMA陽性例は稀であり,SMA高力価陽性はAIHに特徴的であるとされた.その後の検討でSMAは慢性活動性肝炎でも高率に陽性となることが報告され,主要な対応抗原はアクチンであることが示された.アクチンは生体内で筋組織以外にも広く存在し,また臓器特異性,種属特異性を欠くため,SMAの広範な反応性が示唆される.

 ラット肝臓,腎臓,胃切片を用いた間接蛍光抗体法によるSMA染色では血管壁が染色され,胃では粘膜下筋板や平滑筋層が染色される.また,ラット腎切片を用いた染色パターンから尿細管が染色されるSMA-T(tubular),腎糸球体が染色されるSMA-G(glomerular),血管壁が染色されるSMA-V(vessels)の3種類に分類され,VGまたはVGTパターンはAIHに特徴的とされている.SMAは病態に自己免疫学的機序が関与するAIHをはじめ,ほかの慢性活動性肝炎の診断や分類に有用であり,本稿では臨床的に意義の高い肝疾患との関連について述べる.

参考文献

1)Bottazzo GF, et al:Classification of smooth muscle autoantibodies detected by immunofluorescence. J Clin Pathol 29:403-410, 1976
2)Vergani D, et al:Liver autoimmune serology;A consensus statement from the committee for autoimmune serology of the International Autoimmune Hepatitis Group. J Hepatol 41:677-683, 2004
3)戸田剛太郎:わが国の自己免疫性肝炎.医と薬学 53:743-750, 2005
4)高橋宏樹,銭谷幹男:PBC, PSCとAIHのオーバーラップ.肝胆膵 49:235-243, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?